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養老孟司「超バカの壁」(新潮新書)

2006年刊





≪相談をするときに、具体的な答えを期待する人がある。



 それはおかしい。

 自分のことは自分で決めるので、

 相談とは、根本的な「考え方」についての疑問である。

 他人に伝えることができるのは、「考え方」だけである。

 具体的な事情は、じつは当人しか知らないからである。≫




≪「自分に合った仕事」なんかない≫

≪仕事というのは、社会に空いた穴です。

 道に穴が空いていた。そのまま放っておくとみんなが転んで困るから、

 そこを埋めてみる。ともかく目の前の穴を埋める。

 それが仕事というものであって、自分に合った穴が空いているはずだなんて、

 ふざけたことを考えるんじゃない、と言いたくなります。


 仕事は自分に合っていなくて当たり前です。≫

≪合うとか合わないとかいうよりも大切なのは、

 いったん引き受けたら半端仕事をしてはいけないということです。

 一から十までやらなくてはいけない。それをやっていくうちに自分の考えが

 変わっていく。自分自身が育っていく。そういうふうに仕事をやりなさいよ

 ということが結論です。≫


 「仕事がつまらない」「会社が面白くない」というのはなぜか?

≪それは要するに、自分のやることを人が与えてくれると思っているからです。≫

≪会社は全体として社会の中の穴を埋めているのです。

 その中で本気で働けば目の前に自分が埋めるべき穴は見つかるのです。≫






<目次>
まえがき  

1 若者の問題  
若者は凶暴になったか  昔の若者は悪かった  私もフリーターだった 憧れのニート  「自分に合った仕事」なんかない  給料は社会にもらう 世襲のすすめ  秀吉はえらい  ニートに感謝する  オンリーワンよりただの人  時期が来る  個性に自信がない  こだわりという壁 
 
2 自分の問題  
自分とは一体何者か  無意識の本質的確信  脳は勝手に動く  墓の違い 日本人の「私」  

3 テロの問題  
テロとは戦うべきか  大切なのは予防   保守の意味   自爆テロと特攻 テロは倫理問題  恋愛もテロ  血税の意味  マツタケ足りて礼節を知る 
 
4 男女の問題 
なぜ女は強いのか  男は極端  政治家の夜  動物も安定している  

5 子供の問題
少子化はなぜ起こるのか   「らしさ」が消えた  たたき込むことの大切さ 子供中心で考える  大人の都合  子供には手入れ  「ああすればこうなる」式とは  子供と株は違う  いじめは都市が作った  大人のいじめ  

6 戦争責任の問題  
反日をどう考えるか  北京政府を相手にせず  統一をすすめよう  憲法第九条と後ろめたさ  世論調査は怪しい  被害者根性  

7 靖国の問題  
靖国参拝の何が悪いのか  私の抱えた靖国問題   解剖体の慰霊   国立宗教の誕生  すっきりしなくていい  中国、韓国は放っておく  

8 金の問題  
金で買えないものはないか  金への恨み  金で買えない死体   研究は金で買えるか  

9 心の問題  
心の傷は治すべきか  震災と戦争のPTSD  イライラする匂い   ヤコブソン器官  連続殺人犯の脳  

10 人間関係の問題  
なぜイライラする人が増えているのか  老人文化の必要性   つかず離れずがいい  ファンレターの返事  原則を持つ  職業倫理のない人  

11 システムの問題  
活字離れは問題なのか  ネットとメールも活字文化  テレビの影響力  カオス理論  フラクタル理論  結論は物差し次第  わからないことの価値  システムの複雑さ  エントロピーとカラス  丸もうけは無理

12 本気の問題  
誤解されると損をするか  誤解はあたりまえ  分をわきまえる  だれでも転職する遺族に殴られたこと  面倒から逃げない  雑用のすすめ 

   あとがき  
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【楽天ブックスならいつでも送料無料】「自分」の壁 [ 養老孟司 ]
養老孟司「自分」の壁 (新潮新書)

2014年刊





 「自分探すな」・・


≪個性は放っておいても誰にでもあります。

 だから、この世の中で生きていくうえで大切なのは、

 「人といかに違うか」ではなくて、

 人と同じところを探すことです。≫


≪「自分」「自己」「自意識」等々、言葉でいうと、ずいぶん大層な感じになりますが、

 それは結局のところ、「今自分はどこにいるのかを示す矢印」くらいのものに

 すぎないのではないか。≫

≪とすると、「自己の確立」だの「個性の発揮」だのは、

 やはりそうたいしたものではない。

 そう考えたほうが自然な気がしてきます。≫


≪実際には、「本当の自分」なんて探す必要はありません。

 「本当の自分」がどこかに行ってしまっているとして、

 じゃあ、それを探している自分は誰なんだよ、という話です。≫




 人はウイルスでできている・・

 ヒトゲノムの研究が進んでわかったことは、

 人間の遺伝子の並びを全部会読すれば、人間の設計図がわかると思っていたら、

 遺伝子イコール人体の設計図でないことがわかった。

 たんぱく質の設計にかかわっているのは、遺伝子の中の1.5%のみで、

 残りの98.5%はかかわっていなかった。

 しかも、そのうち30%は、外部のウイルスだったらしい。

 私たちは、ウイルスと共生している。
 
 でも驚く必要はなく、そもそも

 お腹の中には、60兆とも100兆ともいわれる数の細菌がいるし、

 顔にも歯にも、おびただしい菌がいる。



 いじめへの対処法・・

 いじめをなくそう・・なんて教師や学校がいっても、絶対になくならない。

≪むしろ考えておくべきなのは、いじめられたときの対処法です。

 なくすことを考えるよりも、いじめられた子が自分の逃げ場所をつくれるように

 したほうがいい。世界を広げるのです。≫

 学校がつらければ、山に虫取りにでもいったらいい。
 



 自信を育てるのは自分・・

 という「いじめ」への処方箋の一方、

≪目の前に問題が発生し、何らかの壁に当たってしまったときに、

 そこから逃げてしまったほうが、効率的に思えるかもしれません。≫

≪ところが、そうやって回避しても、結局はまたその手の問題にぶつかって、

 立ち往生してしまうものなのです。≫

≪社会で起こっている問題から逃げると、同じような問題にぶつかったときに

 対処できないからです。≫

≪そのときに逃げる癖のついた人は、上手に対処ができない。

 だから結局は、逃げ切れないのです。≫






<目次>
第1章 「自分」は矢印に過ぎない
自分よりも他人を知ったほうがいい 理想像を持ったことがない 地図の中の矢印 溶けていく自分 臨死体験はなぜ気持ちいいのか 意識は自分をえこひいきする 生首はなぜ怖い 誰もが幽体離脱可能 どっちでもいい

第2章 ほんとうの自分は最後に残る
弟子は師匠になれない オリジナリティと学問 恋をしていた「自分」は別人 世間の本質は変わらない 思想は自由 脳は顔色をうかがう

第3章 私の体は私だけのものではない
体内の他者 チョウと幼虫は同じ生きものか 体内はウイルスだらけ 共生の強み シロアリとアメーバ 私は環境の一部 田んぼは私

第4章 エネルギー問題は自分自身の問題
原発も世界の一部 エネルギーは一長一短 成長を疑う エネルギーの限界長期的な議論をする場が必要

第5章 日本のシステムは生きている
デモをどう考えるか デモへの違和感 連帯は怪しい 馴染めないから考える 政治問題化の弊害 安保の頃 思想は無意識の中にある 世間の暗黙のルール 江戸の不思議な人材登用 変人もまたよい 日本の自殺は多いか 世間といじめ

第6章 絆には良し悪しがある
絆のいい面を見る 個人主義は馴染まない 不信は高くつく 橋下市長を信用するか あこぎはできない

第7章 政治は現実を動かさない
選挙はおまじないである 世界はオレオレ詐欺だらけ 言葉は現実を動かさない 「やったつもり」でことを進める やはり参勤交代 官僚の頭を変える 知的生産とはホラの集積である 医学は科学か 闇雲に動く意味 政治は生活と関係ない 無関心もまたよし リーダー次第ではない フラフラしていていい

第8章 「自分」以外の存在を意識する
ゼンメルワイスの発見 「がんと闘わない」は正解か 小渕首相の賭け 待機的が正解とは限らない 身内の問題 臨終間際の治療は不要か 「私の死」は存在しない 親孝行の本当の意味 福沢諭吉の勘違い 「我」はいらない 意識外を意識せよ
第9章 あふれる情報に左右されないために
純粋さの危うさ 排外デモの純粋さ 情報過多の問題 メタメッセージの怖さ 医学の勘違い なぜ政治が一面なのか 軍国主義の誕生 生きていることは危ないこと テヘランの死神 柳の下にいつもドジョウはいない 鎖国の効能 適切な情報量とは ツールは面倒くさい 地に足をつけよ

第10章 自信は「自分」で育てるもの
一次産業と情報 脳は楽をしたがる 厄介だから生きている 仕事は状況込みのもの 人生はゴツゴツしたもの 自分の胃袋を知る 自信を育てるのは自分

脳・心・言葉 なぜ、私たちは人間なのか (カッパ・サイエンス―栗本慎一郎「自由大学」講義録)

栗本 慎一郎、養老 孟司、澤口 俊之、立川 健二

光文社

1995年刊



「心というのは、脳の活動である」


 カードナー、フォーダー、ミンスキーら認知心理学者たちの説をまとめると、

「心にはモデュールみたいなものが単位としてあって、

 それが集まった性質としてのモデュラリティがある。

 それらの束ね方には階層性があって、それが知性すなわち心そのものの特徴である」



 脳は、世界を分解し、再構成している。

 そこで初めて世界が私たちの意識するところとなる。
 
 分解し再構成した世界を、私たちはまず、短期記憶に蓄える。

 これを長期記憶と組み合わせて、行動プランを作り、運動プログラムを作り、
 筋肉を動かして世界と関係する。

 一時的にいろいろな情報をのせる場所は、ワーキングメモリーであり、

 前頭連合野は、このワーキングメモリーの働きのセンサーである。

 前頭連合野のドーパミンが不足すると、このワーキングメモリーの働きがおかしくなる。

 精神分裂病の主な症状になる。






 神経生理学者が晩年に辿り着いたところ・・

 J.エッケルス『脳の進化』・・

≪唯物論者の答えでは、独自性の経験を説明できないので、
 
 私は自己あるいは魂の独自性を超自然的な精神的創造に帰することを余儀なくされる。

 各自の魂は神の新しい創造によるもので、受胎と生誕の間のどこかの時点で胎児に植え付けられる。≫

 ・・神が、魂を植え付ける?!



 W.ペンフィールド『脳と心の正体』・・

 人間は、心と体という二つの要素で出来ていると考えることが、素直で理解しやすい。

≪脳の神経作用によって、心を説明するのは絶対に不可能だと私には思える。≫




 脳が「世界を認識する」・・

 数学者にとって、「数学的世界は実在である」と考えている。

 霞が関の役人にとっては、国は実在である。

 普通の人にとっては、数字も国も、約束事にすぎない。

 つまり、脳によってリアリティが違っている。これが世のトラブルの原因になる。

 このリアリティを「実在」と考えたのが、プラトンだった。

 一方、アリストテレスは、個々に具体的にあるモノこそ、「実在」「感覚所与」と考えた。

 こちらは、アクチュアリティと呼ぶ。
 
 リアリティ、アクチュアリティとも、どちらも脳は「実在」と感じる。

 脳には、二つの「現実」がある。






 言葉が違えば、世界も違う・・

 言葉は、ある特定の世界観を運搬しているものである。

 言葉が違えば、世界の認識の仕方、世界の表象の仕方が違う。

 言語というのは、世界のカテゴリー化の仕方である。

 言語によって世界は区分される。

 実体としての世界なんかない。
 
 そもそも人間の外に、客観的世界や現実があらかじめ存在しているわけではない。

 人間は、ありとあらゆるものに、意味づけをして見ている。



「言語学の唯一かつ真の対象は、それ自体として、それ自体のために考察される

 言語(ラング)である。」ソシュール『一般言語学講義』の結び





<目次>
序 いま、問い直される「生命」の「意味」
1 ヒトの脳は、なぜ「進化」したのか
2 「脳化社会」へ至った人間
3 世界は言葉のなかに存在する―言語とその主体


養老孟司「無思想の発見」(ちくま新書)

2005年刊




 冒頭、「本音」についての定義が紹介されています。

 『新明解国語辞典』では、

 「本音=口に出していわない本心」であるのに対し、

 『広辞苑』では、

 「本音=本心から出た言葉。たてまえを取り除いた本当の気持」

 はたして、本音とは、「いうものか、いわないものか」




 「私なんてない」・・

 「意識的な私」とは、じつは「点」でしかなく、中身がない。

 他者との関係、役割によって、私は決まってくる。




 「自我なんてない」・・

 意識は後追いの機能にすぎない。

  



 「他人が見る自分は本当の自分じゃない」のではなく、

 「他人が見る自分こそが自分だ」



 「自分」とは「探す」ものではなく、

 「創る」ものである。

 もう、個性とか、本当の自分とか、自分に合った仕事とか、

 アホなことは考えない方がいい。






<目次>
第1章 私的な私、公的な私
第2章 だれが自分を創るのか
第3章 われわれに思想はあるのか
第4章 無思想という思想
第5章 ゼロの発見
第6章 無思想の由来
第7章 モノと思想
第8章 気持ちはじかに伝わる
第9章 じゃあどうするのか

自分の頭と身体で考える 養老孟司他【中古】afb

養老孟司・甲野善紀「自分の頭と身体で考える」

PHP研究所

1999年刊



≪世界が止まっているというのは、我々の脳が作っている錯覚、イメージなんですね。≫(養老)

 でも、人間の単純な脳では、同時並行処理がわからない。




≪・・身体の使い方を正確に組み上げてゆくことによって、
 感情や生理的な反応自体も完全にコントロールする身体の動きがある・・≫(甲野)

 肥田翁いわく、
 「恐怖の感情が生じそうな時に、横隔膜を押し下げると、
  心臓が少しも圧迫されないので、それで全く恐怖の感情が生じない」





 教育で一番困るのは、「説明してください」という学生・・

 説明されればわかる、と思っている。




 日本人は、変わり身が早いわりに「伝統」をいいたがる。

≪何でそんなに変わり身が早いかというと、始めから建前でものを言っているからですよ。≫(養老)







<目次>
第1章 古武術と解剖学から世の中を見る
第2章 日本という村落共同体
第3章 自分の頭と身体で考える
第4章 一歩間合いをとって日本を見る
エピローグ 年齢を重ねて見えてくるもの


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