富坂聰「中国は腹の底で日本をどう思っているのか」(PHP新書)

PHP研究所

2015年刊



≪いま日本人に必要なのは、

 日本からみた世界ではない。

 中国の側からみた日本、そして世界はどのように映っているのか≫である。



 たとえば、911テロ。

 テロとの戦いを宣言したアメリカの動きに同調するかたちで、

 中国はウイグル族の独立派を国際テロ組織とすることに成功した。

 それまで中国の抱える少数民族問題は「人権問題」として西側諸国から批判の的に

 されてきたが、テロとの戦いで中国の協力を必要としたアメリカは、中国の主張を追認した。

 しかし、窮地に追い込まれたウイグル族独立派は、イスラム国に参画する。

 その結果、中国国内で、ウイグル族独立派による無差別テロが拡大し、

 中国VS世界のイスラム教過激派という対立構造へとスケールアップしてしまった。

 つまり、これまで中国国内の民族問題でしかなった問題が、国際問題へと性格を変えた。

 
 この目線から見ると、

 「一帯一路」・・「シルクロード構想」の目的は、対テロ防止策の一環とも理解できる。 



 たとえば、朝鮮半島問題。

 「中国にとって朝鮮半島における最大の国益は、いつまでも南北が二つに分かれていることだ」

 本来、この考え方は、日本が共有しても不思議ではないか価値観であるが、

 日本からは一向に現れてこない。

 このことに、中国は首をかしげている、といいます。

 なぜなら・・もし韓国主導で統一がなされた場合、新しく生まれた国が
 簡単に北朝鮮の開発した核兵器を手放すだろうか?

 こんなチャンスを韓国がみすみす手放すとは思えない。
 
 最悪の事態を想定して考えるのが安全保障の基本だとすると、

 日本は、朝鮮半島に生まれた人口8000万人を超える核保有国と向き合うことになる。

 つまり、中国の目線で見ると、

 常に北朝鮮一国の動向に拘泥している日本がいかにも能天気に映る。
 



 本来、国と国との外交を決定する要素には、

 ・価値観
 ・利害
 ・イデオロギー

 の3つがある。

 しかし、日本の外交には、価値観ばかりが強調されている。

 価値観に比重を置いた外交を展開し、「信頼」した結果として、

 最終的に「足元をすくわれる」のは、戦前以来の日本の伝統芸となっている。

 外交には、利害の要素も含め、多様な選択肢を持つべきである、と。





<目次>
第1章 「イスラム国」を介して中国の視点を学ぶ
第2章 なぜ日中関係の改善へと舵を切ったのか
第3章 「脱露入米」の裏にある真意を読み解く
第4章 日本人が知らない「中朝関係」のリアル
第5章 日本の北朝鮮外交がうまくいかない理由
終章 「価値観」ではなく「利害」に目を向けよ
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上念司「習近平が隠す本当は世界3位の中国経済」(講談社+α新書)

2017年刊



 中国の経済統計の不正確さ・・ことにGDP統計は、何年間も地方政府のGDPの集計値が

 国家統計局のまとめたGDPの集計値を上回り続けている。

 1985年から実質経済成長率の水増しが、控えめにみて毎年3%ずつされていたとしたら、

 現在でも、日本のGDPを超えてはいない、と指摘されています。


 なぜそんなことを言うのか、というと・・

 中国がお手本にしたソ連経済は、第二次大戦以降、GDPは90倍になったはずでしたが、

 ソ連崩壊後にわかったのは、わずか6.5倍だったため。

 同じことが、中国で起こっているのではないか???


 

 そして、多くの日本人が持っているのは、「上海メガネ」というバイアスだ、といいます。

 中国に在留する大半の日本人は中国の沿岸部の、かつ、日系企業の集中する大都市に暮らしている。

 「上海メガネ」とは、経済発展が特に進んだ地域の状態を、中国全土にあてはめてみるバイアスであり、

 上海を見て中国全土を語ると、大きな間違いを犯す。


≪いま中国の都市部でいい暮らしをしている一部の人は、崩壊しかけてバブルの波に

 乗っているだけ。なぜなら、国全体がバブルを生み出し、一部の人がその恩恵を被る

 仕組みができあがっているからです。≫



 「不良債権比率」「失業率」「税収」を通してわかることは、

 ・ゾンビ企業は最低でも7.5%

 ・過去15年間、失業率は4.0~4.2%(日米とも、2%以上の増減あり)

 などなど。実体経済はとっても悪化している。

 その理由は、
 ・生産過剰
 ・資産価格のバブル
 ・地方自治体の過剰な債務

 AIIBや一帯一路構想は、生産過剰を途上国に輸出することで解消しようとする試み。

 でも、信用度の低い国に無理やり貸し付けても、そのお金はたちまち不良債権化するだけ。



 中国経済減速による日本経済への影響は、5年間のGDPで0,9%、

 年率0.18%にすぎない。

 日本は中国と、ほどよい距離をおこう、といいます。
 


<目次>
第1章 超水増しされたGDP
第2章 トランプが叩く中国経済
第3章 こんなにあった虚偽統計
第4章 日本企業の大避難が始まった
第5章 断末魔の習近平、そして中国
第6章 米中対立で浮上する日本経済

海野惠一「本社も経理も中国へ―交通費伝票は中国で精算する」

ダイヤモンド社

2008年刊


 
 海野さん、長年、アクセンチュアで仕事をして感じていたこと・・

≪欧米企業が日々の仕事の効率が日本企業より勝っているとは一度たりとも

 思ったことがありません。

 しかし、欧米企業は彼らを取り巻く状況の変化に常に敏感で、

 熾烈な競争社会の中で生き残っていくためのドラスティックな経営を、

 トップダウンで実行していくことができます。≫


 ブリティッシュ・ペトロリアムやアクセンチュアは、経営危機に陥った時、

本社機構・コアビジネスを、BPOとして海外に出し、成功した。

 その点、日本企業は、外注とBPOを混同しているのではないか。

 つまり、日本では、ノンコアビジネスを外注として出そうとする。

 とにかく仕事をローコストで社外に出し、本さの負担を軽くするというコスト削

減の観点しかない。

 一方、BPOとは、コスト削減とともに、「会社組織と企業文化を全面的に改革

する」
 
 ことを目指すもの。

 
 日本企業は、目が届かないと問題が起きた時に対処できない、ということで

管理部門を分けたがらない。また、業務の流れも営業の前線から間接部門に至るま



シームレスに作業が流れるようになっている。

 でもこれは、業務全体が一塊に団子のようになり、仕事のプロセスが明確になっ

ていない状態といえる。

 これでは、作業効率は悪く、本来的な内部統制も難しい。


○BPOのメリット

・コスト削減
・組織改革と人材の有効活用
・業務品質・生産性の向上
・優秀な人材の確保
・内部統制の強化
・本社の国際化・中国進出の基礎づくり



○なぜ日本人は中国人を信用することができないのか?

 品質を盾に、日本人は中国人に不信感を抱く。

 これは、100年以上前から存在したと指摘されています。

 山室信一『思想課題としてのアジア―基軸・連鎖・投企』

 
「中国人に対して、『脅威と恐怖の念』と『蔑視と差別という屈折した感情』が混在していた」

≪19世紀の明治時代から今日に至るまで、日本人は機敏で勤勉で体力もあるオー

ルラウンドな中国人に対して

 「勝てない」と畏怖しています。

 その一方で「貧しい人間が多い」などといった理由で見下してもいます。≫



 一方、中国人からみると・・

「日系企業の経営姿勢が中国人を失望している」といいます。

 1990年代半ばから中国は驚異的な成長をしてきましたが、そこでは毎年30

%から50%増の成長を果たした企業も少なくありません。

 しかし、日系企業は、本社目線で、年率3%~せいぜい10%成長の計画を立て

、守ろうとする。

 物価上昇率が7%の中国で、給料がそれ以上に上がらない会社に魅力はありませ

ん。

≪要するに中国に進出していながら日本という殻に閉じこもり、日本人のローカルな基準で

 成長の上限を決めてしまい、中国経済界の溢れんばかりのパワーと将来への上昇志向を

 享受しようとしていないのが現状です。

 そうした職場に対して中国人が将来の夢を描くことができるのでしょうか。

 夢どころか不安を募らせ、結局は辞めていってしまいます。≫



 また、「中国人には忠誠心がない」という認識も誤り。

 『三国志』の桃園の誓いではないですが、

 中国には、一度惚れこんだ相手にはとことんついていく、という風土がある。

「部下に忠義を求めている以上、トップが日本に帰るわけにはいきません。

 軟禁状態です」と語る人(損保ジャパンの岡本副董事長)もいます。 




<目次>
序章 このままでは日本がダメになる―疲弊国家を蘇らせる手段としてのBPO
第1章 中国・大連で今なにが起こっているのか―住友化学がBPOを触媒にして目指

すもの
第2章 「なぜ中国人なのか」には理由がある―日本人との違いを理解することから

すべては始まる
第3章 日本企業に巣食う屈折した感情―日本の常識は中国の非常識
第4章 BPOで中国人の人材を育成する―日中間のギャップを埋めるために
第5章 BPOで日本人の人材を興す―大連を経由する未来への架け橋
終章 タイムリミットは西暦二〇二〇年―二一世紀の今、BPOで日本という国を興す
  鈴木健介「そこが知りたい!中国人との付き合い方~中国要人が教える中国式人心掌握術」 Kindle版において、

 「1.正しく名前を呼びかける」ことが、人間関係のマナーだ、といいます。

 鈴木さんを、リンムーといわれても、反応しない。

 同様に、現地読みをしないことは失礼だ、といいます。
 
 日本のニュースのみ、頑なに日本語読みをし続けるという不思議・・とっても失礼なことを

している認識がない、といいます。

 まずは名字から直していこうと思います。 



「楊貴妃」=yang gui fei
「毛沢東」=mao ze dong
「鄧小平」=deng xiao ping


中国の姓ベスト100
http://whatsinaname.wiki.fc2.com/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%A7%93%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88100


1 王 wáng ワン
2 李 ǐ  リー
3 张 張 zhāng ヂャン、チャン
4 刘 劉 liú リィゥ、リウ
5 陈 陳 chén チェン
6 杨 楊 yáng ヤン
7 黄 huáng フゥァン、ホアン
8 赵 趙 zhào ヂャオ、チャオ
9 吴 呉 wú ウー
10 周 zhōu ヂョウ、チョウ
11 徐 xú シュ、シュイ
12 孙 孫 sūn スン
13 马 馬 mǎ マー
14 朱 zhū ヂュ、チュー
15 胡 hú フー
16 郭 guō グゥォ、クオ
17 何 hé フェ゛ァ、ホー
18 高 gāo、ガオ、カオ
19 林 lín リン
20 罗 羅 luó ルゥォ、ルオ

21 郑 鄭 zhèng ヂォン、チョン
22 梁 梁 liáng リィァン、リアン
23 谢 xiè シェ
24 宋 sòng ソン
25 唐 táng タン
26 许 許 xǔ シュ、シュイ
27 韩 韓 hán ハン
28 冯 馮 féng フォン
29 邓 dèng ドン、トン
30 曹 cáo ツァォ、ツァオ
31 彭 péng ポン
32 曾 zēng ゾン、ツォン
33 肖 xiāo シァォ、シアオ
34 田 tián ティェン、ティエン
35 董 dǒng ドン、トン
36 袁 yuán ユェン、ユアン
37 潘 pān パン
38 于 yú ユー、ユイ
39 蔣 jiǎng ジィァン、チアン
40 蔡 cài ツァィ、ツァイ

41 余 yú ユー、ユイ
42 杜 dù ドゥ、トゥー
43 叶 葉 yè イェ、イエ
44 程 chéng チォン、チョン
45 苏 蘇 sū スー
46 魏 wèi ウェイ、ウエイ
47 吕 呂 lǚ リュ、リュイ
48 丁 dīng ディン、ティン
49 任 rén レン
50 沈 shěn シェン
51 姚 yáo イャォ、ヤオ
52 卢 盧 lú ルー
53 姜 jiāng ジィァン、チアン
54 崔 cuī ツイ、ツェイ、ツォイ
55 钟 鐘 zhōng ヂョン、チョン






尹銘深「中国で勝つ 10の原則と50の具体策」

東洋経済新報社

2011年刊




 日本企業が、中国市場で苦戦する理由・・その2

 「現地人材を惹きつけ、魅了し、やる気にさせる」ことができていないから。

 モチベーションを上げるための長期戦略がない。


 「転職しがちで、個人の利益を優先し、組織の利益を重視しない」という日系企業社員の愚痴・・


《欧米での駐在経験がなく、日本から直接中国に派遣される幹部・管理職は、

 目の前の現実を否定し、どうにか変えようとしてしまう傾向が強い。》
 

 日系企業の魅力不足の原因は、

 現地化があまり進んでいないことにある。

《企業の幹部はすべて日本人である、

 実績より企業で働く期間や企業に対する忠誠度のほうが重視される、

 企業文化およぶブランドの知名度が低い、

 誇りが感じられないなどである。》



 現地の人材を惹きつけるためには、

 「職業発展」(キャリア・デベロップメント)、

 その次に、給与・福利厚生、企業文化、ブランドを高める。



 「職業発展」(キャリア・デベロップメント)・・

・明確な「職業発展」方向

・系統だった従業員育成システム

・異なるタイプの仕事に挑戦する機会

・挑戦的な仕事


「優秀な現地の人材を継続的に雇用したいならば、ローカライゼーション(現地化)」

が必要となる。


 そして、

「部門や中国区だけではなく、将来的には日本本社の取締役会のメンバーにも
 
 なれる可能性を示す。」
 

《企業は国籍にかかわらず、真の意味で能力のある中国人に権利譲渡をするように、

 パラダイムを転換させなくてはならない。》


 現地人材を重要なポジションに就ける際に、

 最も大切なことは・・

 能力よりも、清廉である人材を選ぶこと。

 清廉・・インテグリティかつ能力がある人間を選ぶこと。






<目次>
原則1 日中市場の特質、マネジメントスタイルの違いを理解した上で行動する
原則2 日本で成功したビジネスモデルをそのまま中国に当てはめてはいけない
原則3 激変する現代中国の実像をつかみ、先見の明を持つ
原則4 さまざまなステークホルダーの需要をとらえ、矛盾の中でバランスをとる
原則5 日本本社と中国現地法人が一体となり迅速に取り組む
原則6 現地人材を惹きつけ、魅了し、やる気にさせる
原則7 迅速かつ賢明な意思決定をし、戦略的に行動する
原則8 情に流されない
原則9 商談、交渉においては、周到な準備をした上で根気強く駆け引きをする
原則10 中国社会の動向を把握し、リスクに備え、公的危機を最小化する

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