右肩下がりの君たちへ [ 佐藤優 ]
佐藤優「右肩下がりの君たちへ」(ぴあ書籍)

2016年刊


 佐藤優さんと5人との対談・・


01 津田大介―情報を見極めること

 情報源は、ネット3割、新聞書籍3割、直接人と会って得る4割

「メールだって暗号かけて送れば問題ない」と思っている人へ・・

 毎回暗号かけたメール送っている人間がいたら、当局から怪しいと思われて、
 逆に追いかけ回される。


 最近、警察がハッカーと、会計事務所に就職できない公認会計士を採用している。
 前者は、京都府警など10年ほど前から、セキュリティ系の技術者を採用している。
 後者は、特捜よりも、複式帳簿を正確に読むことができる。

 でも、
≪怖いのは、ハッカーからリクルートした技術者の基本的なメンタリティは、
 やはりハッカーだということです。
 いわゆるギークと呼ばれるような人たちは、国家や民族など、
 組織に対して忠誠心がありません。
 そうすると日本でも、スノーデンみたいな存在が突然現れる可能性が十分にあると思います。≫(佐藤)


 「右肩下がりの君たちへ」のアドバイス(佐藤)・・

 1つは、楽観的になること。

 日本全体が右肩下がりといっても、それは人口減少に起因するものであって、
 そう悲観的になることはない。
 労働のミスマッチングさえなければ、誰でも自分が生きる上で必要なものごと以上の
 価値を作り出すことができる。

 もう1つは、自己愛をコントロールすること。

 自己愛が肥大化すると、何の根拠もなく、自分が絶対に正しく、周囲が間違えているように
 見えてきます。すると現状に満足できなくなり、実現不能な野望を抱く。
 そしてそれが崩れると、引きこもるようなる。
 だから、自分自身を愛するように、他人を愛するように心がけ、
 人間的信頼関係を構築する努力をする。




02 古市憲寿―希望を持つこと

 ピースボートでの世界一周旅行・・

 費用129万、旅行期間3か月間。
 何せクルーズなので、ただベッドで寝ているだけでも世界一周ができるので、
 高齢者の旅行としてお勧め・・って?!


≪自分探しというと、遠くの島に行ったり、世界一周をしたりというイメージがありますが、

 日本社会で役立つ「自分」が、遠くの島とか海外に落ちているとは思えません。

 それよりも、すでに存在している「自分」を掘り下げたほうがいい。≫(古市)



 トイレットペーパーを買えたときの幸福感(佐藤)

 ロシアでは、新聞紙でお尻を拭いていた。
 そんな時、10個のロールを手に入れたときは、この上もない幸福感を覚えた。

 

≪中世の文献などを読んでいてよく思うんですが、結局、人間の生き方や幸せに生きる方法って、

 根本はそんなに変わってないんですよね。

 逆にいえば、現代ならではのトリッキーな「答え」や「解決策」というのもない
 
 と思っています。≫(古市)




 
03 萱野稔人―家族を持つということ
 
 ロシア科学アカデミー・・

 ここの出勤時間は、火曜と金曜の週2日だけ。
 
 あとは、個人の自由。週2日だけでも、十分にコミュニケーションが取れるし、

 さらにそのほうがいいものが生まれてくるという経験則がある。



 中国・・

 13.6億人に迫る中国ですが、

 意外なことに、2016年、生産年齢人口は減少に転じ、

 人口ボーナス期から、人口オーナス期に転ずる。

 そのため、数としての生産拡大ができなくなるため、

 金融的に拡大するしかなくなる。つまり、バブルが起こる。

 ・・って、まだ起こっていなかったのか((+_+))


 
 
04 木村草太―変化の中で生きること

 「解釈改憲」の恐ろしさ(木村)・・

 「解釈改憲」という考え方は、ナチスに通じる。

 実は「ナチス憲法」というものは存在していない。

 ナチスは当時もっとも民主的だったワイマール憲法を、改正していない。

 なぜなら、改憲にはコストがかかるから。

 その代わり、アーリア人種にはアーリア人種にだけわかる目に見えない憲法がある

 のだといって、憲法にない都合のいい解釈や法律を加えていった。

 そうして矛盾する内容の法律や行政命令がたくさんできた結果、

 事実上の「ナチス憲法」ができた。






<目次>
01 津田大介―情報を見極めること
(成功する有料メルマガの条件
ネットの経済感覚はリアル世界の30倍 ほか)
02 古市憲寿―希望を持つこと
(いまはほんとうに希望のない時代なのか?
中途半端な希望なら、ないほうがいい? ほか)
03 萱野稔人―家族を持つということ
(恋愛結婚信仰が、結婚を難しくしている
職場結婚も会社のお膳立てがあってこそ ほか)
04 木村草太―変化の中で生きること
(憲法学は誰のためのもの?
現状に不満のある人が、変化を要求する ほか)
05 萩上チキ―いじめについて考えること
(サボられてきた議論にアプローチする
ソーシャルスキルの有無が分岐点になる ほか)
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動因を探せ 中東発世界危機と日本の分断 / 佐藤優 サトウマサル 【単行本】
佐藤優「動因を探せ 中東発世界危機と日本の分断」

徳間書店

2016年刊




 「アラブの春」によって、体制を維持できた国家と、崩壊してしまった国家

 との違いはどこにあったのか?



 それは、民族(ネーション)の形成度合いにあった、といいます。

 崩壊してしまったアラブ諸国のほとんどにおいて、民族の形成ができていなかった。

 イラク、シリアという国家の器はできたが、イラク人、シリア人の複合アイデンティティ

 において、民族というアイデンティティは大きな位置を占めることにならなかった。

 部族や、スンナ派、シーア派、アラウィー派、キリスト教徒などの宗教的帰属意識のほうが、

 民族よりはるか上位のアイデンティティとなった。

 国旗や国歌を制定するだけでは、民族は生まれない。

 独立から数世紀かけて、民族を形成する努力を、イラクとシリアの指導者は怠った、

 と指摘します。

 
 そこに、ISのつけいる隙があった。


 しかしながら、

 ISの影響力を欧米は過大評価している。

 ISのプロパガンダ能力は高いが、軍事力・経済力については、さほどの力はない。

 2014年末以降、軍事的にも政治的にも守勢に回っている

  
 今後は、ISよりも、サウジアラビアが、国際情勢の攪乱要因となる。

 中東の政治、軍事、経済の危機、さらにエネルギー危機も、サウジアラビアが

 震源地となる可能性が高い。
 


 オバマ大統領による不十分で優柔不断な中東政策の結果、

 米国の中東への関与が急速に消極的になっている。

 中東に政治的空白を作り出してしまった。

 ところが、国際政治は、空白を嫌う。

 この空白を埋めつつあるのが、ロシアである。
 


 日本では報道されていないが、

 ISの中央アジア進出には要注意。

 中央アジアのキルギス、タジキスタンは、事実上の破たん国家で、

 国内におけるイスラム原理主義過激派の策動を封じ込めることができない。

 ウズベキスタンも、キルギス、タジキスタンと国境を接するフェルガノ盆地を

 実効支配することができていない。

 今後、このISの影響が、中国の新疆ウイグル自治区に及ぶ危険性がある。

 かつて「東トルキスタン」と呼ばれたこの地に、「第二イスラム共和国」が

 誕生する可能性が十分ある。

 そこからイスラム革命が世界各地に輸出されるような情況になると、

 国際情勢は一層混乱する。




<目次>
国際社会を変える最大の動因とは何か―まえがきにかえて
第1章 人類の存続を脅かす中東の危険因子
第2章 日本・中国・韓国―アジアの震源を読む
第3章 日本にも発生しつつある国家統合の破綻
第4章 ロシアとの衝突を避ける国際社会
日本の内政を変える動因は何か―あとがきにかえて

【楽天ブックスならいつでも送料無料】知性とは何か [ 佐藤優 ]
佐藤優「知性とは何か」(祥伝社新書)

2015年刊




≪ここで筆者が言う反知性主義とは、

 実証性と客観性を軽視もくしは無視して、

 自分が欲するように世界を理解する態度を指す。

 
 反知性主義には、知識をエリートが独占していることに対する

 異議申し立てという民主主義的側面もある。≫


しかし、

≪反知性主義者が権力を掌握した場合、

 大多数の国民に不幸をもたらすと筆者は考える。≫



≪反知性主義は、知性の不足、合理性の欠如から起きるのではない。

 むしろ合理性の誤使用が問題にされなくてはならない。≫


 たとえば・・

 イスラム国が欧米を母体にして広がったのは、

≪欧米民主主義国においては、いかなる過激な思想であっても、

 具体的なテロ行動に着手しなければ処罰されないという人権原則の

 隙間を衝く手法だ。≫



 沖縄問題がこじれている理由は、東京の政治エリート側の反知性主義的態度にある、

といいます。

≪第三者的に見た場合、沖縄で生じている事態は、民族自決権の初期の段階だ。

 沖縄で生じている問題は、国際基準で見れば、民族問題なのである。≫

 でも、「実証性と客観性を軽視もくしは無視して、自分が欲するように世界を理解」

 しようとするものから見れば、差別の現実が見えていない。



 この反知性主義に、いかに対抗すればよいのか?


 一つの生き方は、カトリック神学。

 カトリック神学の強さは、近代に背を向けたことにある。

 プレモダンの世界であるがゆえに、近代の聴きに直面しても、それを脅威と感じなかった。

 カトリック神学は、プレモダンであるがゆえにポストモダン的状況に対応することができる。

 ・・といっても、反知性主義を克服するために中世に戻ろうというのは、頭の体操としては

 面白いが、カトリックの修道院など小さなコミュニティでしが実践できない。


 もう一つは、田辺元などが考えた哲学。

≪反知性主義を脱構築するためにも、人類がこれまで培ってきた言葉、心、力、行為という

 すべての要素を最大限に活用し、反知性主義者が国民の権利義務や外交に関与する役割を

 極小化しなくてはならない。


 言葉によって、反知性主義者の粗野な言説を乗り越えることはそれほど難しくない。

 反知性主義者は、暴力の行使にためらいがない。

 それに対しては、この人たち暴言、暴力、威圧に対抗する強靭な心の力を培う必要がある。≫




<目次>
第1章 日本を席捲する「反知性主義」―安倍政権の漂流
第2章 歴史と反知性主義―ナショナリズムをどうとらえるか
第3章 反知性主義に対抗する「知性」とは?(1)言葉の重要性
第4章 反知性主義に対抗する「知性」とは?(2)反知性主義の存在論と現象論
第5章 どうすれば反知性主義を克服できるか?
第6章 知性を身につけるための実践的読書術


佐藤優「知」の読書術 (知のトレッキング叢書)

集英社インターナショナル

2014年刊



 「電子書籍時代の読書術」の大前提としては、

 「現在の成人が基礎知識や基礎教養を身につけるために読む本は、

  まず紙で買うべきだ」

 その上で、電子書籍を活用すること。



 「読書のメインは紙の本であり、電子書籍は”二冊目”として活用すること」

 「電子書籍を自分専用のライブラリーとすることで、密度の濃い情報を収集することが

  可能になります」

 「しかし、それでも電子書籍だけで教養を身につけるには限界がある。

  その理由は、・・教養のベーシックとなる本の多くが、まだ電子書籍化されていないからです。


 具体的には、歴史であれば、『岩波講座 日本通史』『岩波講座 世界歴史』など、

 専門の研究者たちによる通史のシリーズ本を読んでみることです。

 こうした読書を通じて、日本史・世界史の基礎を強化してはじめて、

 エマニュエル・トッドの『移民の運命』などを読みこなすことができるようになる。





 教養とは、「知識に裏打ちされた知恵」のこと。

≪知識に裏打ちされrた知恵を持つということは、考えを言語化できるということです。

 インテリとは、自分のおかれている状況をきちんと理解して、

 それを言語によって説明できる人間のことを指します。


 そのためにはできるだけ質の高い本を深く読み込み、反復しなければなりません。≫


 「教養にカネを惜しまない」




 2013年のセイコーインスツルメンツの電子辞書には、

 『平凡社改訂新版 世界大百科事典』が収録されている。

 それを常にカバンに入れて、空き時間に気になる項目を拾って読む。



 リクルートの『受験サプリ』・・月980円で講義を聞くことができる。



佐藤優「知」の読書術 (知のトレッキング叢書)

集英社インターナショナル

2014年刊





 現在は「未完の二○世紀」である。

≪それは現代が今なお、二○世紀の課題を解決できず、二一世紀まで

 持ち越してしまっているからです。≫


 歴史学者のエリック・ホブズボームは、

「二○世紀に起こった世界大戦は、第一次世界大戦と第二次世界大戦の二つ

 に区別するのではなく、途中に休止期を挟んだひと続きの戦争

 -言うなればこれは『三一年戦争』だった」といいます。

 佐藤さん曰く、≪さらに踏み込んで、ホブズボームのいう「三一年戦争」は、

 いまだ終わったとは言えないと考えます。つまり、1914年に欧州で始まった

 戦争の「火種」は、100年を経た現在もいまだ消えず、その熾火(おきび)が

 くすぶっているのです。≫



≪私たちは今なお、1648年のウェストファリア条約で形成された、近代システムの

 延長を生きている≫ 




 エルンスト・トレルチ曰く、

 「ウェストファリア条約によって、国家と教会の分離が決定的なものとなった」

 「教会からの分離」の結果、中世と近代との決定的な切れ目とみなしている。

≪ウェストファリア条約によって主権国家が成立し、近代的な個人が主権国家を

 合理的に編成するプロセスのなかで、民族(国民)と国家を一体とする

 国民国家がつくられたのです。≫



 近代の本質は、「民族主義」「ナショナリズム」にある。


 ナショナリズム運動の目的は、端的に言えば「自前の国家を持つ」ということ。

 しかし、

 民族の数というものは、国家を持つことができる民族の数と比較して圧倒的に

 多いため、その実現は不可能である。

 正式な国家の数が200ぐらいなのに対して、民族の数は、少なくとも5000

 は存在するから。



 21世紀の現在、ナショナリズムも帝国主義も終止符をうたれたわけではなく、

 再び世界を覆いつつある。





<目次>
第1部 「危機の時代」に備えよ
(「世界大戦」は終わっていない
はたして「近代」は存在したのか
「動乱の時代」の必読書
「反知性主義」を超克せよ)
第2部 「知のツール」の活用法
(私が電子書籍を使うわけ
教養としてのインターネット
「知の英語」を身につけるには
現代に求められる知性とは何か)

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