【楽天ブックスならいつでも送料無料】愚民文明の暴走 [ 呉智英 ]

呉智英・適菜収「愚民文明の暴走」

講談社

2014年刊



徳の問題・・

ハンナ・アレント『革命について』

ちくま学芸文庫【期間限定100円クーポン配布中!】革命について/ハンナ・アレント/志水速雄【後払いOK】【1000円以上送料無料】【03P01Mar15】

 アレントは、

≪徳がテロリズムの温床になることを指摘しています。

 正義の暴走を許せば、人間はいくらでも愚かに卑劣になることができる。

 アレントは「徳でさえ限度をもたねばならぬ」というモンテスキューの言葉を

 引用していますが、ロベスピエールが唱えた「弱者に対する同情」と「道徳」

 がテロリズムに行き着く経緯について説明しました。

 法律は実体ですが、抽象はいくらでも頭の中で拡大、暴走していく。≫(適菜)




「保守」とは何か?

≪シンプルに定義すれば保守とは常識人のことです。

 普通のことを普通にやりましょう。

 急進的にものごとを変えると取り返しのつかないことになるので

 慎重にやりましょう。

 過去の歴史にも学びましょうというのが保守ですよね。



 でも、わが国には近代啓蒙思想にかぶれた自称「保守」がいる。
 
 だから、「保守」が革命、改革と騒ぎ出すわけです。≫(適菜)
 




 日本における右翼とヨーロッパにおける右翼の違いは何かというと、

≪日本の場合は天皇を軸にしているけど、

 ヨーロッパの場合はギリシャ・ローマ世界を一種の理想形と考える。

 そこに何か素晴らしいものがあって、それをわれわれが再現しているという

 考え方が右翼であると。≫(呉)


 天皇の物語は、明治の政治権力によって作られた。

 そのベースとなったのは、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤ら国学者の行った

 江戸時代の復古神道だった。

 明治においてさえ、天皇が近代において有効に作用しうるかという問題はあった。

≪もし正しい保守派がいるとすれば、その齟齬があるからこそ天皇陛下は尊いし、

 守らなければいけないと思っている。≫(適菜)

 宣長にとっての神は、良いことも悪いことも人間を超えたものはすべて神である、

 という言い方をした。

≪宣長は『古事記』を分析して、「なる」「つぐ」という神道の本質を見出した。

 三島もそれはわかっていた。

 三島は明らかに皇室を、近代の暴走を防ぐ緩衝材として捉えています。≫(適菜)

 




左翼に足りないもの・・

≪左翼には、歴史法則が存在するという特殊な世界観がありますからね。

 ・・目的のために革命に挺身するという発想がある。

 つまり、世界がひっくりかえっているわけですね。

 「歴史の駒」という発想は不健全です。≫(適菜)

≪さらにそこには、犠牲者でもいいというのが、キリスト教的な千年王国論として

 出てくる。

 聖書の中でイエスが言っているのは、まもなく世の終わりが来る。

 ・・

 「歴史の大きな激動の際には、駒に使われた奴は苦しみますよ、

  あなたたちは損ですよ」としか言っていない。

 それでも、歴史の大きな法則は動くというのが左翼理論なんだよ。≫(呉)

≪だから左翼の根本はキリスト教です。≫(適菜)

≪そこを左翼は深く考えていない。それでいいというなら、それもひとつの考え

 だけど、そうも言わない。

 一人ひとりの個性や意見を大切にとか言いながら、それを法則によって

 踏みにじることに対して、何のケアもない。≫(呉)

 ・・過去二百年間猛威を振るった左翼理論を学び、

 その根源的な危険性を理解することが大切である。

 表層的な「左翼批判」は二の次でよい、と適菜さんが締めました。


 この結論、フランス革命批判、‌近代批判の呉さんの考えからすると想像できます。

 しかしながら、

 近代以前の社会状態にあるISISや北朝鮮等に対しては、依然として近代化理論は

有効である、と考えています。

 60年前に書かれた加藤周一さんの「ウズベック・クロアチア・ケララ紀行」において、

近代化以前の社会に対して、自由に対置する平等原理を導入する限定したモデルが

描かれていますが、「保守」理論のみではそこまで辿り着かないだろう、と。




<目次>
第一章 バカは民主主義が好き
ポピュリズムとは何か?
普通選挙はもう止めよう
フランス革命の欺瞞
大江健三郎の精神構造
道徳の扱い方
在特会は市民運動
若さを礼賛する愚
橋下徹と全体主義
正義の暴走について
ネットで一番強いのはバカ
職人と大衆社会

第二章 キリスト教と宗教の本質
宗教の起源
ニーチェとキリスト教
キリスト教はなぜ世界を支配できたのか?
パウロ教と辻邦生
歴史を変えた殉教者
矢野顕子とハルマゲドン
今なぜ荘子思想なのか?

第三章 吉本隆明という「共同幻想」
吉本信者とスターリニズム
親鸞と「関係の絶対性」
マルクス主義と独我論
日本映画がくだらない理由
知識人の自己顕示欲
「ナロードの中へ」と叫ぶ奴
東日本大震災と絆
愉快犯と真性バカ
三島由紀夫はなぜ死んだのか?

第四章 B層社会の反知性主義
指導者と制度外的思考
仏教に注目した西洋人
ギャンブルと脳内麻薬
セックスと権力志向
革マル・天理教・中島みゆき
田中角栄の学歴詐称

第五章 「保守」とは何か?
民主制と共和制の違いとは
自称「保守」の暴走
本居宣長と八百万の神
近代国家の中の皇室
世俗国家と宗教国家

第六章 民主主義か哲人主義か
誰が指導者か
選挙免許制度のすすめ
デモクラシーと排除の構造
フェミニズムと反知性主義
英雄待望論の背景
左翼に足りないのは教養
官僚批判の構造とエリートの条件
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呉智英「吉本隆明という「共同幻想」」

筑摩書房

2012年刊



「吉本隆明って、そんなに偉いんですか?」


 1960年頃から1980年中頃までのおよそ四半世紀の間の
 「インテリっぽい」人達の間で読まれていた。

 鹿島茂さん曰く、
 「吉本隆明の偉さというのは、ある一つの世代、具体的にいうと
  1960年から1970年までの10年間に青春を送った世代
  でないと実感できないということだよ」



 
 「マチウ書試論」・・

 なぜに「マタイ伝」を、「「マチウ書」、
 「イエス」を「ジュジュ」と呼んだのか?!

 フランス語の聖書をテキストとして使ったからのようですが、
 他の人名や書名は、英語のままというバランスの悪さ。

 そこで、呉さんが思ったのは、

≪どうやら、吉本隆明という人の文章は、
 言葉もおかしいし、構文も構成もおかしい。≫

 吉本さんの文章が「難解」なのは、日本語としておかしいから。


 でも、日本人の他の評論家も同じ流儀だった。

 小林秀雄しかり。


 ともに、『キン肉マン』の歌詞のように、
 「言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい」と思えた。
 
 その背後には、その時代特有の「集団の夢」があったのだ。



 吉本さんの信条は、「大衆不可侵」。知識人の否定。

≪大衆はすばらしい。その理由は証明できない。公理だからである。≫

 よくわからない大衆を定義できるのは、大衆をバカにしている
 知識人ではありえない。
 それができるのは、吉本さんのみである、というのが、
 吉本大衆神学だった。


 
 特徴的なのは、吉本さんの本は、英語にもフランス語にも
 翻訳されていない。
 それは、吉本さんの文章が、外国語に翻訳不可能な文章だから。




<目次>
序章 「吉本隆明って、そんなに偉いんですか?」
第1章 評論という行為
第2章 転向論
第3章 「大衆の原像」論
第4章 『言語にとって美とはなにか』
第5章 『共同幻想論』
第6章 迷走する吉本、老醜の吉本
終章 「吉本隆明って、どこが偉いんですか?」

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呉智英「つぎはぎ仏教入門」

筑摩書房

2011年刊




 仏教の真実が知られると、

 現在の寺檀制(檀家制)に支えられている仏教が崩壊してしまう虞がある。

≪仏教の側は因循姑息であり、あまりに優柔不断で臆病である。≫





≪仏教では、本来、偶像に積極的な価値を認めない。

 事実、仏像は釈迦没後、四、五百年は作られていない。≫


≪仏像が作られるようになるのは、紀元一世紀の終わりごろ、

 ギリシャ文明の影響下にあったガンダーラ(パキスタン北部)においてである。≫


 仏像の釈迦における疑問は、

 釈迦が剃髪していないことにある。

 でも、実際の釈迦は剃髪していた可能性が考えられる。

 仏教が中国に入るにあたって、

 儒教の教え、両親からもらった体、髪の毛を傷つけてはならない、という教え

 に抵触した。

 「孝」は仏教の障壁になっている、と指摘する。
  






<目次>
第1章 宗教とは何か
(宗教はなぜ生まれたのか
「魂」とは何か)
第2章 仏教はどういう宗教か
(「覚り」の宗教
釈迦と経典)
第3章 釈迦は何を覚り、何を説いたか
(縁起論
輪廻からの解脱
無我という難問
苦行の否定)
第4章 仏教の発展と変容
(「覚り」と「慈悲」の葛藤
在家の出現
密教という退行
仏像と偶像崇拝
一神教化する仏教
仏教と独善
独覚に回帰した仏教)
第5章 仏教と現代
(仏教に何が突きつけられているのか
仏教の教理検討
仏教の現代的意義
僧侶と寺院)


【送料無料】真実の「名古屋論」 [ 呉智英 ]

呉智英 真実の「名古屋論」 トンデモ名古屋論を撃つ (樹林舎叢書)

人間社

2012年刊



 
 呉智英さんに親しんでいる人にとっては、

 なんだか懐かしいネタですが、

 名古屋にシンパシティある人には、不愉快な話ばかりが続きます。

 本書、俗流の名古屋論がどういうものか興味ある方向けです。





 名古屋名物といわれている「ういろう」「外郎」ですが、

 大福餅や最中と同様に、全国どこでも売られているものの、

 戦後、地場の製菓会社の青柳ういろう、大須ういろが、

 ラジオやテレビで大々的に宣伝した結果、名物と思われるようになった。

 
 「ひつまぶし」は、名古屋発祥であるが、歴史は古くない。
 
 戦前期に、商品にならないウナギの切れ端を活用して安く提供していたが、

 いまでは上等なウナギをわざわざ刻む贅沢な料理になった。



 トンカツに味噌だれをかけた味噌カツは、ここ30年ばかりに広まったもの。

 それまでは、全国どこでもあるようにソースをかけていた。


 
 まあ、どこの名物も似たり寄ったりかも(^_^;)





<目次>
一、「大阪の食い倒れ」は戦後始まった
二、出版史上まれに見る怪著
三、日本中にあるビルヂング
四、金鯱の謎
五、名古屋市役所庁舎と愛知県庁舎
六、祭と技術
七、性信仰、性の祭
八、「名古屋めし」とは何か
九、「名古屋の嫁入り」は派手か
十、文化不毛の地名古屋が生んだ四人の近代文学の祖
十一、知られざる江戸期の尾張文化
十二、アジアへの広がり
十三、大和政権の後背地として


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呉智英「マンガ狂につける薬 二天一流篇」

メディアファクトリー

2010年刊



若者が得をしない時代・・堀井憲一郎『若者殺しの時代』

 1983年を境に変わったこと。
「それまでは20代の若者を社会は見逃していてくれたのだ。」
 フリーターやニートなんていわれずとも、遊んでも何もせずともほっておかれた。


さくらももの『漫画版 ひとりずもう』

「我々は、教育は絶対善だと思っている。
 ちがう。
 教育は必要悪なのである。
 それは・・政治に似ている。政治も必要悪なのである。
 この二つのちがうところは、政治に深く関与した人は、それが必要悪だと気づくのに、
 教育に深く関与した人は、それが絶対善だとますます信じ込むところである。」



鈴木光太郎『オオカミ少女はいなかった』

 常識の呪縛・・

 その一つは、狼に育てられた少女、アマラとカマラの話。
 でも、動物の専門家からみて、そもそも狼が人間を育てることはありえないし、
 狼の乳の成分は、人間の赤ん坊が消化できない。

 もう一つの例は、映画のフォルムの一コマにコーラの映像を潜ませると観客は
 なぜかコーラが飲みたくなる、というサブリミナル効果の話も、
 嘘だった、といいます。

 この一文読みまで信じ込んでおり、ちょっと衝撃でしたӤä




<目次>
日本人の心に滲みる無常観―『無頼侍』鈴木マサカズ・『大菩薩峠』中里介山
中学生の切実な好奇心―『昭和の中坊 さくらんぼフレンズ』末田雄一郎/原作、吉本浩二/作画・『性の用語集』井上章一&関西性欲研究会
プロ魂の権化、娯楽の王道―『愛蔵版女帝』倉科遼/原作、和気一作/劇画・『ああ玉杯に花うけて』佐藤紅緑
濃くて熱い最凶の物語―『真説ザ・ワールド・イズ・マイン』新井英樹・『排蘆小船・石上私淑言』本居宣長/著、子安宣邦/校注
体験してわかる獄中の不条理―『獄窓記』『累犯障害者』山本譲司・『刑務所の中』花輪和一
動物を殺す根本的罪悪―『世界屠畜紀行』内澤旬子・『2匹は訴える』旭丘光志
怨念と善意が生んだ偽書―『偽書「東日流外三郡誌」事件』斉藤光政・『石神伝説』とり・みき
虚栄の市の記録と論理―『気まぐれコンセプトクロニクル』ホイチョイ・プロダクションズ・『恋愛と贅沢と資本主義』ヴェルナー・ゾンバルト/著、金森誠也/訳
時代の不安と不条理な変身―『ライフ・イズ・デッド』古泉智浩・『変身』カフカ/著、高橋義孝/訳
実作家のマンガ論、小説論―『サルまん サルでも描けるまんが教室21世紀愛蔵版』相原コージ、竹熊健太郎・『小説とは何か』三島由紀夫〔ほか〕

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