イノベーションと企業家精神
P.F.ドラッカー「イノベーションと企業家精神」 (ドラッカー名著集)

訳 上田淳生

2007年刊




 1985年、ドラッカーさん、75歳の時の著作。


 目に見えないものを、見える化する手際、見事です(^^♪

 見えるようにするのに必要なモノは、目ではなく、分析である、って。




≪イノベーションと企業家精神は才能やひらめきなど神秘的なものとして

 議論されることが多いが、本書はそれらを体系化することができ、

 しかも体系化すべき議題すなわち体系的な仕事としてとらえた。≫



≪あらゆる仕事が原理に基づいている。

 企業家精神もまた原理に基づく。

 企業家精神の原理とは、変化を当然のこと、健全なことをすることである。


 企業家精神とは、すでに行っていることをより上手に行うことよりも、

 まったく新しいことを行うことに価値を見出すことである。≫



≪企業家は変化を当然かつ健全なものとする。

 彼ら自身は、それらの変化を引き起こさないかもしれない。

 しかし、変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。

 これが企業家および企業家精神の定義である。≫



≪企業家は、生産性が低く成果の乏しい分野から、生産性が高く成果の大きい分野に

 資源を動かす。≫


 そこには、

≪イノベーションが必然であって、大きな利益が必然である分野、

 すなわち、イノベーションの機会がすでに存在する分野において、

 資源の最適化にとどまるほどのリスクの大きなことはない。

 論理的にいって、企業家精神こそ最もリスクが小さい。≫




≪企業家はイノベーションを行う。イノベーションは企業家に特有の道具である。

 イノベーションは富を創造する能力を資源に与える。

 それどころか、イノベーションが資源を創造する。≫



≪イノベーションは技術に限らない。

 モノである必要さえない。それどころか社会に与える影響力において、

 新聞や保険をはじめとする社会的イノベーションに匹敵するものはない。≫

≪多様な知識や技術を有する人たちをともに働かせるための知識としてマネジメントもまた、

 今世紀最大のイノベーションだった。

 それは、まったく新しい社会、いかなる政治理論や社会理論も準備していない

 組織社会を生み出した。≫



≪実際には、成功したイノベーションのほとんどが平凡である。

 単に変化を利用したものにすぎない。
 
 したがって、イノベーションの体系とは、具体的、処方的な体系である。

 すなわちそれは、変化に関わる方法論、企業家的な機会を提供してくれる

 典型的な変化を体系的に調べるための方法論である。≫




≪予期せぬ成功ほど、イノベーションの機会となるものはない。

 これほどリスクが小さく苦労の少ないイノベーションはない。≫

しかしながら、

≪マネジメントにとって、予期せぬ成功を認めることは容易ではない。

 勇気が要る。同時に現実を直視する姿勢と、間違っていたと素直に認めるだけの謙虚さ

 がなければならない。≫

≪予期せぬ成功は機会である。しかしそれは要求でもある。

 正面から真剣に取り上げられることを要求する。

 間に合わせではなく優秀な人材が取り組むことを要求する。

 マネジメントに対し、機会の大きさに見合う取り組みと支援を要求する。≫



≪イノベーションとは組織的かつ体系的な仕事である。

 しかし、それは分析的であるとともに知覚的な仕事でもある。

 もちろんイノベーションを行おうとする者は、見聞きしたものを論理的かつ
 
 詳細に分析する必要がある、

 知覚するだけでは駄目である。知覚というものが、単に感じることを意味するのであれば、

 イノベーションにおいて知覚は役に立たない。≫

≪しかし、実験と評価を伴う緻密な分析といえども、その基礎となるのは、

 あくまでも変化、機会、現実、現実と認識のギャップなどに対する知覚である。

 したがって、「分析できるほとはまだわからない。しかし、必ず見つけ出す。

 外に出かけ、観察し、質問し、聞いてくる」といわなければならない。≫





<目次>
第1部 イノベーションの方法
(イノベーションと企業家精神
イノベーションのための七つの機会
予期せぬ成功と失敗を利用する―第一の機会 ほか)
第2部 企業家精神
(企業家としてのマネジメント
既存企業における企業家精神
公的機関における企業家精神 ほか)
第3部 企業家戦略
(総力戦略
ゲリラ戦略
ニッチ戦略 ほか)
企業家社会
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Peter F. Drucker - The Daily Drucker: 366 Days of Insight and Motivation for Getting the Right Things Done



 日めくりドラッカー・・ドラッカーさんの金言集です。

 うるう年も含め、366日分の言葉が紹介されています。

 
 1月1日は、「インテグリティ」・・真摯さについての話で始まります。

 「すでに起こった未来」「新しい現実」などを認識することの大切さを示した後、

 イノベーション、新規ビジネスの取り組み方、

 企業だけでなく、NPOを含めた組織論、

 リーダーシップ、マネージャのタイムマネジメント、

 知識社会と知識労働者のあり方、

 そして、ドラッカーさんが発明した概念・・事業部制やABC原価などの紹介もあります。

 最後は、キェルケゴールの論考で締めくくられます。

 読み進むのに、苦労した分、深く感動しました。


 個人的には、ポラニー家の人々との交流の文章も欲しいところでした


 
 琴線に触れた箇所数々あれど、バースト・プロジェクトのリカバリー対応をしている身としては・・ 

 7月14日の「予期せぬ失敗 Unexpected Failure」の一節でした。

 Failure should always be considered a symptom of an innovative opportunity,

and taken seriously as such.


 Unexpected failure often informs us of underlying changes in customer values

 and perceptions.

 The assumptions upon which a product or service, its design or market strategy,
 were based can quickly become outdated...


 今回のプロジェクトであれば、

 顧客との対応のあり方、新規の業務領域の知識、プロダクトの初物リスク、

 パートナーの管理のあり方、人を見る目、リーダー格のアサインと育成方針、

 トラブル時の即応体制などなど、一つの失敗から学べることは沢山あり、

 反省よりも、失敗をいかに教訓にできるかが重要であることに気づかされるのでした。


 ところで、400ページ超の本書、わずか1500円足らず・・とは!


ドラッカー365の金言

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Managing in the Next Society

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Peter F. Drucker - Managing in the Next Society


 ドラッカーさんの「ネクスト・ソサエティ」より・・


For half a century, from 1950 to 1990s, enterprises in the free,

noncommunist world and their executives could and did take society

very much for granted.

There were rapid and profound economic and technological changes.

But society was very much a given.

Ecomomic and technological changes will surely continue.

..executives will have to understand the realities of the Next Society

and will have to base their politics and strategies on them.

To help them do this, to help them successfully manage in the Next Society,

is the purpose of this book.




15 The Next Society

Politicians everywhere still promise to save the existing pensions system,

but they - and their constituents - know perfectly well that in another twenty-five years

people will have to keep working until their mid-seventies, health permitting.

 ・・定年75歳説!!!


The Next Society will be a knowledge society,

Knowledge will be its key resource, and knowledge workers will be

the dominant group in its workforce.


..the most striking growth will be in "knowledge technologists":

computer technicians, software designers, analysts in clinical labs,

manufacturing technologists, paralegals.

These people are as much manual workers as they are knowledge workers;

in fact, they usually spend far more time working with their hands

than their brains.

But their manual work is based on a substantial amount of theoretical

knowledge that can be acquired only through formal education,

not through an apprenticeship.

They are not, as a rule, much better paid than traditional skilled workers,

but they see themselves as "professionals."



First, the knowledge workers, collectively, are the new capitalists.

Knowledge has become the key resources, and the only scarce one.

This means that knowledge workers collectively own the means of production.



Effective knowledge is specialized.

That means knowledge workers need access to an organization -

a collective that brings together an array of knowledge workers

and applies their specialisms to a common end product.




Conversely, knowledge rapidly become obsolete, and

knowledge workers regularly have to go back to school.

Continuing education of already highly educated adults

will therefore become a big growth area in the Next Society.
 


ネクスト・ソサエティ

 前回エントリー・・

 integrity・・インテグリティ・・映画『セント・オブ・ウーマン』(Scent of a Woman)』 の続き・・

 



 岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の中で、



 ドラッカーさんが語る言葉・・

 マネージャが、

「始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。

 才能ではない。真摯さである。」

 知的な能力よりも、真摯さがより重要であるという一節があり、

 「真摯さ」って、どの英単語だろう?
 
 と疑問に思っていました。


英辞郎で調べると、

 「真摯」で、多数利用例がでてきますが、たとえば・・

 真摯に
  in a serious manner
  with sincerity

 真摯な努力
  a sincere effort
  diligent effort

 真摯な批判
  honest criticism

 とあります。

 sincerity、diligent、honest・・う~む、ピンとこないと思ったので、

 今週届いた「Management Revised Edition」を見てみると・・

 ズバリ・・

 「INTEGRITY, THE TOUCHSTONE」

 インテグリティとなっていました!

 
 以下、ちょっと紹介すると、

The final proof of the sincerity and seriousness of an organization's

management is uncompromising emphasis on integrity of character.

..

They may forgive a great deal: incompetence, ignorance, insecurity,

or bad manners. But they will not forgive a lack of integrty.

Nor will they forgive higher management for choosing such a person.

..

Management should not appoint anyone who connsiders intelligence

more important than integrity.






もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎夏海「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

2009年刊


 長らく本屋さんで、萌え系の表紙が気になっていた本ڤ


 高校野球の女子マネージャーが、野球部のマネジメントを試行錯誤して

 考え、行動していくのですが、

 引用されるドラッカーさんの『マネジメント』の文言、

 どれも素晴らしい!

 ことに、「真摯さ」についての記述は、以前『マネジメント』を読んだときは
 スル―していたので、驚きであり、感動でした。


「マネジャーの仕事は、体系的な分析の対象となる。

 マネジャーにできなければならないことは、
 そのほとんどが教わらなくとも学ぶことができる。
 しかし、学ぶことのできない資質、
 後天的に獲得することのできない資質、
 始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。

 才能ではない。真摯さである。」

 知的な能力よりも、真摯さがより重要である。



「真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。

 それはまず人事に関わる決定において象徴的に表れる。

 真摯さは、とってつけるわけにはいかない。

 すでに身につけていなければならない。

 ごまかしがきかない。

 ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは2、3週間でわかる。

 無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。

 だが、真摯さの欠如は許さない。

 決して許さない。彼らは、そのような者をマネジャーに選ぶことを許さない。


 真摯さの定義は難しい。

 だが、マネジャーとして失格すべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。

1.強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならない。
 できないことに気づいても、できることに目のいかない者は、やがて組織の精神を
 低下させる。

2.何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネジャーに任命してはならない。
 仕事よりも人を重視することは、一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる。

3.真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネジャーに任命してはならない。
 そのような者は人として未熟であって、しかもその未熟さは通常なおらない。

4.部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。
 そのような者は人間として弱い。

5.自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネジャーに任命してはならない。
 そのようなものをマネジャーにすることは、やがてマネジメントと仕事に対する
 あなどりを生む。」


「いかに知識があり、聡明であって上手に仕事をこなしても、
 真摯さに欠けていては組織を破壊する。
 組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。」






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