本多静六「本多静六自伝 体験八十五年」


 状況の奴隷になるな・・と言われますが、

 なかなか難しいですね。



<幸福についての考え方>

 第一は、心身の健康である。

 第二は、自分の望みが叶うことである。

 第三は、自分の働き、自身の努力によることである。

 第四は、素直な心の感じ方である。

  「・・境遇に心を左右される人は、たとえその境遇が改善されても、

   不平不満は次々に起こってきて、生涯満足感に満たされることはあるまい。

   こういえば、幸福は常に心の中にあり、心の外には関係がなさそうに思えるが、

   われわれの実生活には心の生活の半面に物質生活があり、
 
   物質生活の半面に心の生活があるのだから、いわゆる物心一如、

   一方努力奮闘によって物質的満足を得ると共に、

   一方心の修養によって精神的満足をはからねばならぬ。
 
   この両者が完全一致してこそ、そこに初めて人生の幸福は実現されるものであると

   考えられる。」

 第五は、比較的、かつ進歩的であることである。

 第六は、社会の希望に反しないということである。



 6つの条件を並べて、次のように人生幸福の定義を下す。

 「幸福とは、自己の努力によって、健全なる欲望が満たされ、

  精神、肉体共に愉快を覚ゆる状態を指し、しかも、

  それが自己の健康と社会の希望に反しない場合をいう。

  そうして、真の幸福そのものは、比較的、進歩的のものであるから、

  常に絶えず新たな努力精進を要するものである。」



 さらに幸福と共に、今日における成功への近道を述べる。
 
 1.常に心を快活にもる - 楽天主義

 2.専心その業に励む  - 職業の道楽化

 3.功は人に譲り、責は自ら負う。

 4.善を称し、悪を問わず。

 5.好機はいやしくもこれを逸せぬこと。

 6.勤倹貯蓄      - 四分の一貯金の実行

 7.人事を尽して天命(時節)を待つ。 

 

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本多静六「本多静六自伝 体験八十五年」


 
 キャッチコピーに「東大教授にして大富豪」とありますが、

 スタートは、決して順風満帆ではなかったこと。

 
 「人生即努力」「努力即幸福」・・・の人生観と、

 それを裏打ちした人生・・

  日比谷公園をはじめとする公園の設計、

  阿蘇国立公園の設計、

  農学部の演習林の事業化、

  さらに、関東大震災後の帝都復興計画の際の後藤新平の知恵袋・・・ 
 
 はじめて知りました。



 本多博士、学生の時、2度、自殺を図ります。

 山林学校の1学期、「幾何」の授業で落第し、古井戸に投身自殺をするが、

 「米搗きで鍛えた片手が、井戸の下側にある途中の井桁に引っ掛って、
  
  どうしても離れない。この生と死の刹那、ふと私の頭に浮かんだのは祖父の顔だ。

  私の上京の際、祖父は激励していった。

  「塙保己一は盲目でありながら、630巻余の「群書類従」その他を著したのだ、

   目の2つあるお前が保己一以上の勉強を続けたならば、もっと大きな仕事が
 
   できるはずじゃ」

  私は思わず夢中で井戸の中から這い出していた。」

 
 その後、「エキス勉強法と行読法」 を駆使した結果、

 以降の試験は、断然優等で進級できた。

 しかも先生から、

 「お前は幾何の天才だから、もう出席しなくてもよろしい」との言葉。

「このとき私は、なんだ天才というものは勉強することなのか、

 と漠然と考えたものである。・・

 とにかく私も努力さえすれば人並み以上、天才近くにもなれるのだという自覚自信が、

 私の一生をどれだけ力強く鞭撻してくれたかわからない。」


 

 本多静六「私の生活流儀」の中に、

 本多博士自身が、「私の財産告白」についての読み方をコメントされている

 一節がありました。



「「私の財産告白」を、自分勝手に金儲けの奥義書と早合点して読んだ人も

 多いようだが、その欲張りに答えるものは何も出していないはずだ。

 先日もあるブック・レビューに近頃よく売れる本として紹介してくれたのは

 有難いが、いささかその評者の見解に遺憾があった。

 しかし、これは評者ばかりでなく、金の話といえば、

 すぐ金儲けの話でなければならぬと考える連中にも共通することなので、

 ここにちょっとさしはさんでおきたいと思う。


 評者も「四分の一貯金」の必要と効果を、一分の真理として認めている。

 貯金すればしただけ間違いなく金が貯まる。

 これは金儲けの奥義でもなんでもない。当たり前のことである。

 真理とはすべてそんなものである。

 当たり前のことを当たり前とするところに真理があるのだ。

 しかもこの平々凡々な貯金をすら、すぐ金儲けであるかのごとくみたがる点に、

 「金欲し屋」のさもしい悪癖があるようである。


 貯金は貯金、それは決して金儲けでもないし、金儲けに入らねばならぬ初歩でもない。

 貯まった金をそのままにしておくもよし、有用に使い切るのもよい。

 私の場合はこれを株式と土地・山林に投資して大いに殖やしたのである。

 微を積むこと、よく巨万の富となし得たのである。


 だが諸君よ、早まってはいけない。

 私が有望株に投資したり土地・山林に目をつけたのは、

 日清戦争直後の日本経済上昇期である。

 バカでもチョンでも株や山林を買っておけば成金になり得た時代である。

 いってみれば私は運がよかったのである。

 しかも、同時代人に、なんと、そのバカでもチョンでも少なかったことかと

 いいたいのである。


 宝クジを買えば必ず100万円当ると決まっていたようなその際、

 月給や売り上げの天引きをしてクジを買うもののいかに少なかったことよ。

 また買ったにしても、辛抱強く持ち続けるものは少なかった。

 それをあえてする - 世間のいわゆる金儲けの奥義などというものはたいてい

 そんなところにある。

 これは私の実験ずみの奥義である。・・・


 私は学問を愛した。仕事を愛した、

 しかし学問を愛し仕事を愛したがゆえに、世の中に厳存する俗生活の力強い生き方をも

 蔑視しなかったのである。

 このことは、ここに改めてみなさんにも念を押しておきたい。・・・」







 本多静六「私の財産告白」・・・ブレンタノ博士の財訓




本多静六「私の生活流儀」


<頭の使い方>


○手帳の大きなハタラキ

 「人間の知識や考案等は小鳥のようなもので、

  目の前、頭の中に飛んできたとき、さっと捉えて籠の中に入れておかぬと、

  過ぎ去ったが最後、もはや自分のものとすることはなかなか難しい。

  そこで思い付いたその折々に、電車の中でも、夜着の裡でも、

  必ず要点だけでも書き留めておく必要がある。


  思うに、人生にはこうした断片的な知識の集積がきわめて大切なもので、

  名案妙案の多くも、こうした瞬間的な閃きから生まれてくるのである。」


 ちなみに、本多博士の手帳は、

  縦4寸9分、横2寸8分のルーズ・リーフ

  ・・1寸=約 3.03 cm なので、

  縦14.8cm、横8.5cm ・・あれっ、思っていたより小さめの手帳。
 
  手帳の厚さは、2~3分=6~9ミリ。

  手帳の中身は、8項目に分類。

  1.修養
  2.残用 (仕残した仕事のメモ)
  3.カレンダー (だいたい半年分くらいの用意をし、日付の下に予定事項のメモを記入、
           毎朝これを一見する)
  4.当用 (用事を気づくごとに記入し、それがすめばその行を消しておき、
        就寝前には消さない行をなくしてしまう、
        それが一日でできぬ大問題の場合は、忘れずに前の残用欄にうつしておく)
  5.日記
  6.資料 (一切の見聞読書メモを類別して記入、のちにその重要部分を転記保存する)
  7.会計 (一切の収支をその都度記入し、月末に計算原簿にうつす)
  8.宿所録(これは別にカード式のアドレス・ブックがあるから、それに登録するまでのメモである)



○エキス勉強法と行読法

 「その日に学んだ講義筆記や参考書を一心不乱に熟読し、

  ぜひ覚えなければならぬ重要なところに、鉛筆でしるしをつけておき、

  一章読み終わるごとに、その要点、とくに定義や方程式、数字などを別の紙に記入していく。

  すると、だいたい100枚ばかりの筆記が、結局は、2-3ページに圧縮することができる。

  つまり学科目のエキス抽出である。
  
  これをフトコロに入れて、毎夕または早朝1-2時間ずつ外出する。

  なるべく通行者の少ない田んぼや山道を歩く。

  そうして歩きながらそれを頭に入れていくのである。

 
  歩行しつつ読む法 - すなわち、「行読法」である。
  
 




本多静六「私の生活流儀」


 本多博士の「生活白書」16項目が紹介されていますが、

 そのポイントが、どれも英国の医者であるフーカーの健康法と符合しており

わかりやすいので、こちらを紹介。

 「だんだんと年をとるという考え」の一掃や、

 3~4、6・7の取り越し苦労をしないこと、一々頷きます。



 英国の医者・フーカーの健康法

1.だんだんと年をとるという考えを頭の中から駆逐せよ

2.食糧を厳に節せよ

3.常に前途をたのしめ

4.困難に挫折することなく、かえって良き教訓として奮起せよ

5.憤怒するな

6.明日のことを思いわずらうな

7.過去をして過去を葬らしめよ

8.働いて遊び、遊んで働け

9.娯楽を持て

10.金銭目的の競争場裡に立つな

11.常に善事を行え

12.思慮は密なるをよしとし、食物は淡きをよしとす

13.清潔なる食事と清潔なる思想

14.新鮮なる理想と空気を多く吸え

15.高尚なる目的と活動

16.生活を複雑にするな

17.笑って、若やぐべし

18.猪突猛進の生活をするな

19.後日のために貯蓄せよ

20.自己のためにのみ生存せず、他人のために生きよ



「・・環境を支配することは、偉大なる天才にもなかなか難しいが、

 環境に適応することは、われわれ凡人にもさして難事ではない。

 何人にも心掛け次第で、容易に、かつ楽しくできることだ。」



「この世の中は鏡のようなものである。

 だから、自分が額に八の字を寄せて向えば、

 世の中という鏡もまた自分に八の字を寄せて睨みかえす。

 人間はまったく気の持ちよう一つである。・・


 われわれが常に心を快活にたもち、

 いつもニコニコ生活をつづけるには、

 遠慮、やせ我慢、負け惜しみ、虚偽、それにまた、きまりがわるいとか

 億劫だとかいうようなことを一切追放してかからなければならない。
 
 なんでも、子供のように無邪気になることである。」



 以下、「頭の使い方」については、また別の機会に・・


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