SOSの猿

伊坂幸太郎「SOSの猿」

2009年刊


 誰かのSOSの声が聴こえるけれど、
 
 助けることができない・・非力な私

 こういう立場が、自分が当事者であるよりも苦しい。

 下手な感受性などないほうが楽だと思う瞬間があります。
 




 「人の悩みは一般化されたところで救われない」

 ・・でも、自分と同じような、またそれ以上の悩みを抱えて
 いる人の存在を知ることで、耐えられることは多い。

 ユングの言葉、
 「個人の精神的苦痛を、その人の失敗のせいにせずに
  人類共通の苦悩で、時代すべてが背負っている問題だと
  了解することは重要だ」




 「100%いい人とか、100%悪い人とかって、いない」

 だから怖い・・のならば、漱石の世界ですが、
 助からないと思って助かっている・・のは、特定の人を含む
 周りの人々との関係で世界が成り立っているからだと思います。



 「分かる、と無条件に言い切ってしまうことは、
  分からないと開き直ることの裏返しでもあるんだ。
  そこには自分に対する疑いの目がない」



 映画「エミリー・ローズ」で、エミリー・ローズ
 が一人背負っていった世界を連想しました。



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重力ピエロ

伊坂幸太郎「重力ピエロ」



 「春が二階から落ちてきた」

 ・・って何? (^0_0^)




 犯罪被害者になったら・・

 決して慰撫されない被害者感情、仇討ちの思想が、基にある作品です。
 
 この重ーいテーマを、

 空中ブランコでジャンプするサーカスのピエロにたとえて、

 軽やかに描こうとしているのだと思います。


 人生をたとえると何になるか?

  人生は、自転車レース

  人生は、レストラン

 
 できれば、前者よりも、後者がいいですね。

 フルコースを味わう楽しみを持てること。


 「気休め」がとっても大切・・

 たかが気休め、されど気休め

「人を救うのは、言葉じゃなくて、美味しい食べ物なんだよね」

「気休めっていうのは大切なんだよ。

 気休めを馬鹿にするやつに限って、眉間に皺がよっている」ޥ
 


 
秘密の言葉・・

 TTAGGG

 



ラッシュライフ

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」・・・永遠に回り続ける物語



 エッシャーの絵画「Ascending and Descending(上昇と下降)」・・

 ある塔の上にある階段を、修道僧たちが永遠に回り続ける絵・・を、

 小説そのものの構成にした物語。


 複数の物語の一つ一つにあるエピソードをたどっていくうちに、

 最初のところに戻っています・・あれっ、と!Ӥä




 
 気分が落ち込んだときには、

 「ビートルズ」という病院で、

 「ヒア・カム・ザ・サン」という薬を飲む。

 そうすれば、「イッツ・オーライト」という気分になる・・

 なんてたとえ、なかなかいいですね~ޥ




モダンタイムス

伊坂幸太郎「モダンタイムス」 (Morning NOVELS)


 「魔王」「呼吸」の続編、あれから50年後の世界、


 主人公は、システムエンジニアであり、

 手段であるはずのコンピュータシステムやインターネットの利用が原因となって、

 システムから攻撃される・・

 このシステムからの攻撃とどう渡り合っていくのか、が描かれます。

 岡嶋二人さんの「クラインの壷」を連想しましたが、「クラインの壷」は企業レベルでしたが、

 本作はさらに大きなシステムが敵でした。

 
 わからないことがあったらどうすればよいか?

 ・・ひとまず検索してみること
 
 ・・検索することで何でも手に入れられてしまう世界

   でも、恐ろしいのは、
 
  検索することによって、検索する人の趣味・嗜好・意図・・まで、

  すべてシステム側に握られてしまうということ。

  「1984」の世界は、物理的な監視社会ですが、

  ここでは、人間の頭の中まで監視されてしまう可能性のある社会が出現しています。



 システムと闘う・・ことはできるか?

 すべての人は、システムにとっての部品であり、役割である。

 そこには勧善懲悪の世界は存在しない。

 だからといって、その部品を演じた人が免罪されることはない。

 システム化されることによって、想像力を失うことは本人の責任である。  


 システムと闘うためには何が必要か?

 まず、勇気・・

 「勇気はあるか?」

 が、合言葉となる。

 次に、大きな使命のために動くことを辞めること、

 小さなことのために動くこと。
  
 

 「人生は要約できない」という言葉が印象的でした。


 「いいんです

  人生が大きく変わらなくても。

  たとえ、自伝や年表に載るような大きな出来事が起きなくても、

  小さな行動や会話の一つ一つが、

  人生の大事な部分なんです。」


  
 あとがきには、週刊モーニングに連載されていただけあって、

 全力疾走を56週分繰り返したという苦労話もありました。



モダンタイムス特別版


グラスホッパー

伊坂幸太郎「グラスホッパー」・・本当のシステムエンジニアであるかどうかを見極めることのできる質問とは?


 う~む、微妙・・

 
 ハードボイルド・・小説のようですが、

 物語のその世界を背負って立つべき

 3人の主要な登場人物のどれにも感情移入できないのでした。
 
 
 でも、最後まで読んでしまいますね~



PS

 相手の職業を確認する場面で、

 本当のシステムエンジニアであるかどうかを見極めることのできる質問・・

 がわからない、という一節がありました。


 はたしてどんな問いをすれば、よいのだろうか?


 

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