村上憲郎「一生食べられる働き方」(PHP新書)

2012年刊





 新卒で日立電子に入社し、初仕事は、福島第一原発の振動実験・・

 月の残業200時間という生活。

 それが可能だったのは、仕事そのものが面白かったことと、
 
 「大義名分」があったから。



 その後、様々なビジネスができたのは、

 常に「大局観」を持っていたから。

 「大局観」があったからこそ、「次に何が流行るかわか」った。

 また、そうでない場合でも、

 自分が狙って、流行らせたものもあった。



 グーグルの強さは、ビジネスモデルのシンプルさにある。

 これが苦境に陥っている日本の家電メーカーなどと大きく異なる。



 そして、

 日本企業の多くは、モンキートラップにはまっている。

 モンキートラップとは・・

 猿の手がやっと入るくらいの小さな口の容器に餌を入れておくと、

 猿が手を入れて、餌を獲る。

 でも、餌を握りしめた猿の手は抜けない。

 餌を離せば、手は抜けて逃げられるのに、餌を握りしめて離そうとしない

 ばかりに手が抜けなくて、猿はつかまってしまう。

 成功体験を握りしめたまま自滅することをやめることが先決である。
 




 学生運動による逮捕歴あった村上さん、

 世界革命・・の夢が挫折し、転向後、ビジネスするにあたってのよりどころ、

 仕事の倫理的根拠は、ハイエクにあった、といいます。

 ハイエクは正義について語るとき、

 あくまで身の丈から出発することを重視した。

 自分の利益、家族の利益、自分の会社の利益、自分の地域社会の利益という、

 自分の同心円状で、私利私欲で行動すればよい。

 私欲から出た行動は、市場を通して、社会全体の利益につながる。

 市場を重視しつつ、競争に敗れた人のためのセーフティーネットを用意する。
 


 でも、世界革命の夢があったからこそ、

 「大局観」を持ち続けられたのだと思う、と。
 
 


 村上さんのアドバイス・・


「食うために働け。

 そして、世界をイメージせよ」





<目次>
第1章 明日の食料に戦慄せよ
第2章 セールスを愛したエンジニア
第3章 自分の強みを活かす
第4章 成長する企業、消えていく企業
第5章 リスクを取れ!そうすれば変化がついてくる
第6章 あなたは世界をイメージできるか
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中澤二朗 「働くこと」を企業と大人にたずねたい ―これから社会へ出る人のための仕事の物語

東洋経済新報社

2012年刊



 現代は「三つの喪失」の時代・・

 生きがいの喪失、つながりの喪失、企業活力と暮らしの土台の喪失。


 
 本書を読んでいて、とりわけ大切なのは、

 「つながり」なんだと思います。


 その理由は、

≪心の自然破壊を防ぐものは、心のつながりである。

 心と心がうまくつながっているところでは、

 災害が起こらないし、起こっても修復が早い≫から。


 
 つながりとは、絆であり、信頼である。

 ことに、無条件の信頼が築けるかどうかにある。

 過去の日本的経営には、丸抱えの「ヒトとしての経営」があり、

 その限界が、欧米流の「モノとしての経営」にシフトすることになった。

 でも、「ヒトとしての経営」をすべて捨て去るのは暴挙であり、

 日本的経営を見直し、「ヒトとしての経営」の良さを再発見・再発掘することは

 現在でも有効なはずである。




 しごとのプロとして、「しごとの壁」に習熟しつつ、

 タコツボにならないために、「しごとの穴」を通して、社会とのつながりを持つ

 ことが大切である。



<目次>
前編 「素朴な疑問」を解き明かす
(二人の青年と「素朴な疑問」;変質する産業社会;地軸のすすめ)
後編 「素朴な疑問」への回答
(「良き企業」とはどういう企業か;「良き企業人」とはどういう人か;「良き企業人」にどうしたらなれるのか;「良き社会」とはどういう社会か)
それから五〇年、二人の対話


孫崎享「日本の「情報と外交」」(PHP新書)

2012年刊





 スパイの役割は、

 「現場に行け、現場に聞け」である。



≪「現場に行け、現場に聞け」は、たんに物理的に現場にいることを意味しない。

 「現場」の人々が何を考えているかを知ることを意味する。≫

 そのため、

 佐藤優さんと同じく、相手の内在的論理を知るシミュレーションをするために、

 良質な小説を読むことの大切さを勧められています。

 




≪分析する者は、いろいろな材料を使い、今日の時点での分析をする。

 この材料は今日の時点で有効である。

 しかし、明日になれば別の要因が現れる。

 かつ、その重要度は変わる。

  
 今日の分析が完璧であることには自信をもってよい。

 その努力はすべきである。

 しかし同期に、「今日の分析は今日のもの、明日は豹変する」、

 この謙虚さをもつ必要がある。≫






<目次>
第1章 今日の分析は今日のもの、明日は豹変する―イラン・イラク戦争(一九八〇~八八年)
第2章 現場に行け、現場に聞け―NATOのベオグラード空爆(一九九九年)
第3章 情報のマフィアに入れ―オイルショック(一九七三年)
第4章 まず大国(米国)の優先順位を知れ―ニクソン訪中(一九七一年)
第5章 十五秒で話せ、一枚で報告せよ
第6章 スパイより盗聴―ミッドウェー海戦(一九四二年)
第7章 「知るべき人へ」の情報から「共有」の情報へ―米国同時多発テロ事件(二〇〇一年)
第8章 情報グループは政策グループと対立する宿命(かつ通常負ける)―湾岸戦争(一九九一年)
第9章 学べ、学べ、歴史も学べ―日米貿易摩擦(一九九〇年代)
第10章 独自戦略の模索が情報組織構築のもと


菊池正史「官房長官を見れば政権の実力がわかる」(PHP新書)

2013年刊



 菅さんと枝野さんの違い・・


 アルジェリアでのテロの際、菅さんは、安倍首相が外遊してしていたにもかかわらず、

 終始一貫、総理の指示によって政府が動いている、と印象づけた。

 
 震災後の原発事故対応で、枝野さんは不眠不休で対応し、賞賛された。

 でも、リーダーである菅さんをマネージすることができなかった・・半ば放棄した、

 といってしまうと、枝野さんには気の毒ですが、

 のちの民主党大反省会でも、危機管理における「情報集約、準備、運営」のマネジメント

 ができなかったと自省されていたので、認識はあったのだと思います。



 「真の政治主導とは、

  官僚を使いこなしながら、国民の声を国会に反映させつつ、

  国益を最大限に増大させること」







<目次>
第1章 菅義偉VS枝野幸男
第2章 「闘将」野中広務
第3章 「懐刀」後藤田正晴
第4章 「影」福田康夫
第5章 内閣官房長官の原点
第6章 第一次安倍政権はなぜ失敗したのか


羽生善治「直感力」(PHP新書)

2012年刊




 直感とは何か?


 直感とは、論理的思考が瞬時に行われるようなもの。

 直感とは、今まで習得してきたこと、学んできたこと、知識、類似したケースなどを

 総合したプロセスなのではないか。
 

 
 長く考えても、それだけ思考は深まっていかない。

 ある程度考えると、あとは、複数の選択肢を選ぶために迷っている。


 直感は、何かを導き出すときだけに働くのではなく、

 直感 自分の選択、決断を信じてその他をみないことにできる、

 惑わされないという意志、でもある。



 直感を働かせるためには、

 目の前の現象に惑わされないこと。


 リラックスした状態で集中すること。

 余裕がないと、直感は生まれない。

 そのために、あえて「考えない」時間を意識的に作る。



 
 直感は、経験によって熟成していく。

 そのためも心得・・

 道のりを振り返らない

 自己否定をしない

 先達にならう

 キャンセル待ちをする

 想像力と創造力

 ツキを超越する強さを持つ

 情熱をもち続ける
   
 
 ・・以上を通して、自分自身に拠り所を求める。 








<目次>
第1章 直感は、磨くことができる
第2章 無理をしない
第3章 囚われない
第4章 力を借りる
第5章 直感と情報
第6章 あきらめること、あきらめないこと
第7章 自然体の強さ
第8章 変えるもの、変えられないもの


齋藤孝「最強の人生指南書」(祥伝社新書)

2010年刊






「心を以て字無きの書を読むべし」(言志後録138条)

 
 字のない本、すなわち実社会や現象というものこそを
 読まなければならない。






凡そ教(おしえ)は外よりして入り、
工夫は内よりして出づ。

内よりして出づるは、必ず諸(こ)れを外に験(ため)し、
外よりして入るは、当(まさ)に諸(こ)れを内に原(たず)ぬべし。(言志後録 5条)


すべての教は外より入って来るものであり、
工夫は自分の内から考え出すものである。

それで自分の内から考え出したものは、
必ずこれを外で験めして正しいことを実証すべきである。
また、外からの知識は、自分でその正否を検討すべきものである。







一燈を提げて暗夜を行く 暗夜を憂うること勿れ、只だ一燈を頼め。

≪一燈は精神的支柱でも、技術でも、やる気でも何でもかまいません。

 また、時期によって提灯から懐中電灯へというように、必要に応じて持ち替えても
 
 かまいません。

 
 でも、いくつも同時に持ってしまうと、明るくなりすぎてかえってどちらへも進んで

 いいのかわからなくなるような気がします。≫


≪・・燈を一つに絞るということが大きな意味を持つのではないかと思います。≫

 



「三学」・・

 
 若いとき・・少年老い易く学成り難し

 壮年期は、仕事の上でも大いに学ぶべきとき。

 仕事以外も、語学や趣味を身に付ければ、老いて豊かなり。
 
 
 老いたときは、学ぶこと自体が、気力と体力の源泉となる。






<目次>
序 章 現代こそ『言志四録』が役に立つ
論語ブームと『言志四録』
心に響く「短い言葉」
幕末の志士たちが学んだ東洋の叡智

第一章 「忙しい」の九割は無駄な仕事のせい――仕事術
事前によく考えれば、スムーズに進む
仕事はまず解決可能性と優先順位を判断する
目の前のことから「料理」する
トラブルは早めに処理せよ
急ぎの文書ほど、ゆっくり考えろ
攻めている方よりも守っている方が上である
利害の調整を上手くせよ
「思う」から「工夫」へ
「忙しい」の九割は無駄な仕事のせいである
過去よりも現在の過ちに目を向けよ
上手に下がれ
利益を得ることが悪いわけじゃない
できる人は大局観を持っている
視点移動で見えないものが見えてくる
「予測力」が実力を左右する
一流の人達に共通するものとは
自分のスタイルを知るべき時
「己」を持っているか
人の言葉は拒まず、鵜呑みにせず
他人を受け入れる器量
コミュニケーションとモチベーションのための言葉
一呼吸で大きく変わる
若者は老人のように、老人は若者のように

第二章 才能よりも包容力を持て――人間関係・リーダー論
第一印象は間違いない
好き嫌いが判断を誤らせる
人間を座標軸で捉える
人との関係も「音楽」だ
情と欲を使いこなすには
人の気持ちをつかむのに必要な「心の中和」
人心をつかむにはストレス発散をうまく使う
信用があればできないことはない
禍は口より出で、病は口より入る
他人には「春」、自分には「秋」
相手に聞いていることを伝える
才能よりも包容力を持て
人を育てるのに必要なバランス感覚
禍は下からでなく、上から起こる
上司に必要なのは重要性の判断を伝えること
教育とは、天から与えられた仕事だ

第三章 志があれば、何からでも学べる――学習法
人生はいつでも学ぶべきときである――「三学の教え」
師をどう選べばよいか
志があれば何からでも学べる
自然の生命力から学ぶ
自然から「回す力」を学ぶ
字のない本を読め
月や花の何を見ているか
学ぶためには「発憤」が必要だ
学問に不可欠なものを一字で表わすと
聡明さの横糸と縦糸
心にスペースを持て
疑うことは悟ること
アウトプットを考えながらインプットせよ
自分の言葉を自分で聞け
優れた言葉は心の鍼である
集中して本を読むには
人それぞれに適した方法で学ぶ
他人からではなく、天から評価される人になれ
人生を二つに分けて考える

第四章 「やむを得ざる」の生き方――人生論
「やむを得ない」のが本物だ
夢を見るのではなく、夢に見ろ
自分だけの「提灯」を見つけろ
欲も野心も使い方次第
名誉は必ずしも棄てなくていい
心の特別な働きとは
心がふさいだときは間違いやすい
人間性をクリアに分析してみる
身体から心をコントロールする
心の奥底に鍼を打つ
日本人が持っていたみぞおちの感覚
「地」のイメージを生活に取り入れる
人生を表わす二つの文


加藤嘉一・古市憲寿「頼れない国でどう生きようか」(PHP新書)

2012年刊








加藤「僕は、自分が見たものしか信用しない。

   現場を大事にするということ。」

≪現場に行く。

 現場で情報を取る。

 現場で表現する。
 
 そういう「現場力」が足りない。≫(加藤)


古市「研究者の掲げる理論は一見中立的なフリをしていますが、
   実はその人の経験にかなり裏打ちされたものが多い。」

  「現場は大事なのだけど、同時に「会議室」も大事だと
   思うんですね。」

   現場と会議室の両方があって、事件は解決できる。

  「現場だけだと、どうしても一回限りの体験や経験で終わってしまう。

   事件が起きて、その場で問題は解決しても、情報が蓄積されない。

   一度会議室に持ち込んで、抽象的な理論に落とし込んでおくと、

   それがまた次の事件にも使える。」







語学をどう身につけるか・・

 
 加藤「訓練として必ずやっていたのは、日本語で聞いたことは英語でメモを
    取るということ。」

   「あとは辞書を引きまくる。」

   「・・ラジオをひたすら聞く。ニュース専門の局にチューニングして、
    寝ているときも聞いていました。」

  
   「ヒア」を「リッスン」に、「聞こえる」を、「聞く」を加える。







<目次>
第1章 語学をどう身につけるか
第2章 使える情報をどう集めるか
第3章 どうすれば読まれる文章が書けるか
第4章 自分をどう管理するか
第5章 人間関係をどうマネジメントするか
第6章 日本と中国、どう見据えるべきか
第7章 「若さ」という武器
第8章 これからどう生きていくか


佐藤拓「日本の怖い数字」(PHP新書)

2012年刊




 沖縄にある米軍基地は、沖縄本土の18.4%を占める。

 でも、沖縄の県民総所得のうち、米軍基地関係所得の占める割合は、

 5.2%にまで下がっている・・意外にも?!





 藤井聡さんが「公共事業が日本を救う」の中で、

 ガンガンに国土強靭化プロジェクトを始めないと、

 日本が危ないと力説されていましたが、


 衝撃なのは、「日本が老朽化している」というレポート・・

 たとえば、

 全国にかかっている「橋」で、長さが15メートル以上の橋は、

 約15万7000橋ある。

 このうち、築50年以上のものは、8%(13000橋)。

 築40年以上のものは、26%(40000橋)。

 もちろん、道路も同様。




  
 
 小中高生の自殺率・・

 日本では、毎日、児童生徒が一人ずつ自殺している(>_<)

 2011年は、

 小学生は、13人、

 中学生は、71人、

 高校生は、269人

 合計、353人。

 理由は、いじめ、学業不振、病気・うつ、進路の悩み。





 国際結婚相手の国籍別離婚率・・


 唖然とするのが、

 フィリピン人との結婚は、97~98%の確率で離婚すること。

 夫が日本人で、妻が韓国・朝鮮人の場合、73.4%。

 妻がイギリス人の場合、26.4%

 妻がアメリカ人の場合、32.7%


 で、日本人同士の場合、34.3%。


 

 




<目次>
1章 沈む日本丸で進行する格差
2章 無縁社会
3章 危機に瀕する出産と育児
4章 子どもたちを襲う異変
5章 危険な学校
6章 危うい夫婦
7章 東日本大震災の裏側


内山力「確率を知らずに計画を立てるな」(PHP新書)

2013年刊




 確率思考のポイント・・

 まず、母集団は何か、を見極める

 標本は代表となっているか?

 「標本が母集団を表しているか」

 「母集団をどの範囲ととらえるか」


 そして、

 大数の法則

 があることを知っておく。




 イチローの2打席目の打率は何割か?

 イチローの平均打率が、3割5分だとして、

 1打席目を凡退した後の、2打席目の打率はどれだけか?

 
 もし各打席が独立事象であれば、

 3割5分となる。

 しかし、バッティングは、独立事象ではないので、

 ヒットを打つ確率は、

  1 - 0.65*0.65(2打席連続凡退する確率)

 =1 - 0.42

 = 0.58 ・・・なんと、 58%に跳ね上がります。

 本書では、2打席目に凡退する確率は、25%という調査結果が使われているため、

 
  1 - 0.25/0.65

 = 0.62 ・・・凡退後の2打席目は打撃6割超のバッターだった、と。






<目次>
1 内閣支持率30%の怪しさ
2 なぜ商品は多品種化していくの?
3 「50%の確率で目標を達成します」と言おう
4 ノーヒットのイチローが次にヒットを打つ確率は3割5分?それとも6割?
5 普通に仕事をやれば2回に1回は遅れる
6 なぜNHKより民放の方が「当選確実」を打つのが早いのか
7 商品のシェアってどうやって決まるの?
8 迷惑メールは読む前にゴミ箱へ
9 起きたら大変なことを、起きないようにはできない
10 「あと10分」という待ち時間はどうやって決めている?



佐藤一斎「人の上に立つ人」の勉強―45分で読める『言志四録』+『重職心得箇条』

訳 坂井昌彦

三笠書房

2002年刊








意外にも、本書で目に止まったのは、「忙しさ」に対する一斎先生の

忠告でした。




今人(こんじん)おおむね口に多忙を説く。

そのすところを視るに、実事を整頓するもの十に一二。

閑事を料理するもの十に八九、

また閑事を認めてもって実事となす。

宜(うべ)なりその多忙なるや。

志ある者誤ってこの?(か)を踏ふむことなかれ。

「言志録」31条

≪今どきの人は、口癖のように「忙しい」という。

 その実態を観察すると、本当に必要な仕事をしているのは、

 十人中の一人か二人で、残りの八人、九人は役にも立たない事を

 やっているだけだ。

 それでいて、本人たちは大事な仕事をやっているつもりで忙しがっている

 のである。

 志のある者は、こんなつまらぬ風潮の「穴」にはまり込んではならない。≫






人はすべからく忙裏に閒を占め、

苦中に楽を存する工夫を著(つ)くべし

「言志耋(てつ)録」113条

≪人は、どんなに忙しくても、静かな時のような心境を保たなくてはならない。

 また、どんなに苦しい時でも、その中で楽しみを見つけて保つ工夫が

 なくてはならない。≫



『重職心得箇条』

八.重職たるもの、勤向繁多(つとめむきはんた)と云ふ口上は恥ずべき事なり。
  仮令(たとい)世話敷(せわしく)とも世話敷(せわしき)と云はぬが能(よ)きなり。
  随分手のすき、心に有余あるに非(あらざ)れば、大事に心付かぬもの也。

  重職小事を自らし、諸役に任使する事能(あた)わざる故に、
  諸役自然ともたれる所ありて、重職多事になる勢(いきおい)あり。


≪重職たるもの、仕事が忙しいなどと口にするのは恥ずかしいことである。

 たとえ本当に忙しくも、けっして忙しいなどと口に出してはならない。

 なぜならば、十分に暇と心のゆとりがなかったら、

 本来の仕事である重要要件と取り組むことができないではないか。


 もし忙しいのが本当だとしたら、それこそ問題である。

 それは重職自身が、さほど重要でもない細かい仕事に頭を突っ込んで、

 その仕事を担当部署の部下たちに任せないからである。

 そして、担当を任せてもらえない部下たちは仕事をしなくなり、

 重職は本来の大事な仕事もできずに、ますます忙しくなるのである。≫






そして、最後に一番大切なのは、このことなのでは、と思うのでした。


立志は高明を要し、

著力は切実を要し、

工夫を精密を要し、

期望は遠大を要す。

「言志耋(てつ)録」26条

≪志は高く明確であるべきだ。

 力の入れ所は勘所を押さえて適切であり、

 仕事は精密でなくてはならない。

 そして、

 努力目標は、できるだけ遠大なものでありたい。≫


≪どんなときでも「目線」を下げない。≫
 


<目次>
第1部 『言志四録』を読む―先人は、この「60の知恵」で自分の壁を越えてきた!
(永遠の「若さ、知力、意欲」を維持する秘訣
いつでも「気分よく」仕事をする方法
過去に未練をもたない、未来に気を揉まない
どんなときでも「目線」を下げない
伸びる人は、細かいことにも手を抜かない ほか)
第2部 『重職心得箇条』を読む―人の上に立つ人の「器のつくり方・人の動かし方」17の秘訣
(心に油断なく、軽挙をつつしめ
自分の好みで部下を使うな
断固、守るべきものは守り、変えるべきものは変えよ
前例、慣習にこだわるな
「転機」と「応機」に全神経をつかえ ほか)

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