森洋子「ブリューゲルの「子供の遊戯」―遊びの図像学」

未来社

1989年刊


 
 今週、「遊び」に関する本、ホイジンガの「ホモ・ルーデンス」、ブリューゲルの「子供の遊戯」等を

集中して読んでいます。

 改めて、「遊び」とは何か、を振り返ってみると、実に面白いです。




 ブリューゲルの「子供の遊戯」の中には、

 2、3歳の幼い子供の独り遊びから、14、15歳の少年少女たちのグループ遊びまで、

 約250人の子供が、91種類の遊びに没頭している姿が描かれている。

 ブリューゲルの研究家R・ヴァン・バステラールとH・ド・ローは

 この作品を「フランドルの子供の遊びが描かれた真の百科全書」と評している。


 舞台となった1560年当時のアントワープ、アントウェルペンは、

 人口10万人以上の国際貿易都市として、パリ、ヴェネツィア、ナポリに次ぐ

 世界第四の都市に発展していた。


 フィリップ・アリエスが『<子供>の誕生』の中で明らかにしたことは、 

 子供期は、16、17世紀まで存在せず、子供の法的保護もなかった。

 子供は小さな大人として、共同体の中に組み入れられていた。
 

 以下の91種類の遊びの名称は、

 ベルギーの民俗学者ド・メイヤーによるオランダ語名からの翻訳になっている。

 実に、たくさんの遊びがあったことに驚きます。


1 お手玉遊び
2 人形遊び
3 人形の家
4 祭壇ごっこ
5 梟の巣箱
6 水鉄砲
7 仮面遊び
8 ブランコ遊び
9 くるみの風車遊び
 くるみの上下を真ん中に穴を空け、上下に棒を通して、棒のてっぺんに
 風車をつける。真ん中の穴に紐をつけ、ぐるぐる巻きにした紐を引っ張ると、風車が回る。
10 シャボン玉遊び
11 小鳥遊び
12 ガラガラ遊び
13 石が脚にあたるぞ
 輪になった仲間の真ん中で、一人の子供が、先にレンガがついた紐を振り回す。
 仲間は、脚にレンガが当たらないように、跳び上がる。
14 洗礼ごっこ
15 目隠し鬼ごっこ
16 子供椅子
17 「いくつもっている」または「奇数か偶数か」
 手の中に、おはじきや石、どんぐりなどを隠し持っている数を当てる。
18 棒馬
19 子守りごっこ
20 ロンメルポットと縦笛
 肩にかけた太鼓を右手で打ち、左手で縦笛を吹く。この太鼓を、ロンメルポットと呼ぶ。
21 お粥のかきまぜごっこ
22 輪回し(男子用)
23 輪回し(女性用)
24 樽栓の穴から叫ぶ
 空洞の樽の中で反響した声を楽しむ。
25 シーソー(樽揺らし)
26 風船(豚の膀胱)遊び
27 尻打ち
 罰ゲーム
28 牡山羊、牡山羊よ、ふらつくな
 「飛び馬ごっこ」「どんま」
29 お店屋さんごっこ
30 ナイフ立て
31 煉瓦積み遊び
32 髪の毛むしり
 罰ゲーム
33 昆虫を捕まえる
34 ヴォラールト運び
 大きな長いパン、「天使のケーキ」と呼ばれ、聖画が描かれた特別な形のパンをヴォラールトと呼んだ。
35 帽子、帽子を脚の間から
 股の間からの帽子投げ
36 兎跳び
 馬跳び
37 線の上での引っ張りだこ
 お互いにおんぶをしたもの同士の綱引き
38 足蹴り
 5人ずつ二列になって座っている仲間の間を、通過する罰ゲーム。
 途中、両側から足蹴りされるため、巧妙に跳び進めなければならない。 
39 噛みタバコ転がり
 アクロバット遊び
40 梨の木になる(逆立ち)
41 でんぐり返し
42 柵をよじ登る
43 柵の上でお馬乗り遊び
44 花嫁行列ごっこ
45 目隠し鍋たたき
 スイカ割りみたい
46 低い竹馬
47 目隠し鬼のスリッパとり
48 ひと山に当てる、塔にむかって投げる
 塔崩し
49 ぐるぐる回り
50 高い竹馬
51 ぶらさがり(横木に回転する)
52 棒立て(バランスごっこ)
53 肥った仔牛、または袋のかつぎっこ
 敗者である子が勝者を背負う罰ゲーム
54 投げ独楽
55 鞭独楽
56 私の青い塔の中に誰がいるの

57 カタカタ鳴らし 「鳴子」
58 風車で槍合戦
59 穴掘り
60 砂山へ駆け登る
61 砂山から駆け降りる
62 スカートを膨らませる
63 木登り
64 浮袋(豚の膀胱)で泳ぐ
65 足を水に浸す
66 川辺から泳ぐ
67 泳いだ後で
68 ボール遊び
69 おしっこ
70 指骨遊び
71 短棒投げ
72 ボールを穴の中へ
73 小猫ちゃん、小猫ちゃん、王様の椅子、または王様の退位ごっこ
74 地下室の扉を登る
75 取っ組み合い
76 壁さんに玉をぶつける
77 宗教行列ごっこ
78 ねずみの尻尾ごっこ
 電車ごっこみたいなもの
79 訪問ごっこ
80 先頭の子供に従え
81 ベンチから押し落とせ
 ベンチの上での押しくらまんじゅう
82 馬ちゃん、牛ちゃん、仔牛ちゃん
 肩車
83 ボール隠し
84 馬のベヤールとヘーム伯の4人の子供たち
85 洗礼者聖ヨハネの祝火
 お祭りの日の焚火
86 焚火運び
87 松明運び
88 戸口の前で歌う
89 散歩
90 吹き流しをなびかせる
91 籠をぶらさげる


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<目次>

第一章 ブリューゲルの「子供の遊戯」、その作品成立の背景
 一 ブリューゲルとアントウェルペン
  1 生涯の大半を過ごした都市
  2 国際商業都市となる
  3 めざましい文化活動の都市
 二 ブリューゲルの略伝
 三 「子供の遊戯」の来歴
 四 「子供の遊戯」の様式的特徴
 五 「子供の遊戯」の人物配置と色彩
 六 作品解釈の諸説
  1 「子供の遊戯」の百科全書説
  2 「幼年期」の寓意画説
  3 大人の愚行の縮図説
  4 大人の世界の鑑説
  5 新しい解釈の提言
 七 季節にみる子供の遊戯
第二章 「子供の遊戯」の図像学
第三章 西洋美術史における子供の遊戯
(古代ギリシア・ローマ―遊びは子供にとって有益
中世―区別しにくい子供と大人の遊び
ルネサンス
17世紀―遊びの寓意性)
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ブリューゲル・さかさまの世界―子どもの遊び;ネーデルランドのことわざ;バベルの塔

ヤーノシュ カシュ 編

早稲田 みか 訳

大月書店

1988年刊






 大ピーテル・ブリューゲルは、するどく真実と向かい合った画家であった。

 1525年から1569年にかけて、アントワープに生きた裕福な教養のある人物であった。

≪ときには農夫のかっこうをして農民の中にもぐりこみ、彼らの生活や習慣を知ろうとしました。≫
 
 そのおかげで、16世紀当時のフランドル地方の農民の日常生活・・「農民の結婚式」

 「結婚式の踊り」「農民の踊り」などがみごとに描かれている。


「子どもの遊び」・・

≪ここは、とある海辺の町です。

 広場も通りも、家のなかも子どもたちばかりです。

 おとなはみんなこの町から出ていって、子どもになにもかもあけわたしてしまったです。

 柵の横でさか立ちをしている男の子のように、天と地がひっくりかえってしまった

 ような世界です。≫






<目次>
子どもの遊び
ネーデルランドのことわざ
バベルの塔

中野孝次「ブリューゲルへの旅」(文春文庫)



≪1966年、ウィーンの美術史美術館で、

 一目でわたしをとらえたのは、まず堅固なものの実在感であった。

 印象など何ものでもない、内面生活など存在しない、

 とそのころわたしはそれほどはっきりと考えていたわけではなかった。

 ただ、一目見て美術史美術館の一室にある絵の全部にひきつけられ、

 もう離れることができなくなった。

 そこにあるのはわたしの茫々たる抽象的観念的生涯をからかうような

 絵ばかりだった。

 この画家は一つ一つの具体的な事物とだけ付合い、しかもその一つ一つを

 それぞれその類の普遍にまで純化していると思われた。≫


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<目次>

狩人
狂女
予感
麦刈り
室内
自然
民家
現実


乾草の季節
いざり

傲慢
イカルス
絞首台にかささぎのいる風景
浮きつつ遠く
人間はなぜ遊ぶか―遊びの総合理論
人間はなぜ遊ぶか―遊びの総合理論

M.J.エリス

訳 森 楙

黎明書房

1985年刊



 人はなぜ遊ぶのか?


 
 新旧さまざまな遊びの理論が紹介されています。
 
 すべての遊びを説明しうる統一的な理論があるわけではないですが、

様々な遊びの裏付けになっています。



 遊びの古典理論・・名称、遊びの原因

1a.剰余エネルギー説1

 生存に必要とする以上の剰余エネルギーの存在によって
 遊びはひき起こされる。

1b.剰余エネルギー説2

 反応剥奪期の後に増大した反応傾向によって
 遊びはひき起こされる。

2.本能説

 遊び行為をする生得的能力の遺伝によって
 遊びはひき起こされる。

3.準備説
 
 後年の生活に備えて遊ぶ人の努力によって、
 遊びはひき起こされる。
 
4.反復説

 種の発展の歴史をその成長期間中に反復する遊び手によって
 遊びはひき起こされる。

5.気晴らし説

 元気を回復するために、労働でなされる反応とは別の反応を
 個人が必要とすることによって遊びはひき起こされる。
 

 でも、実際には、人は疲れていても遊びし、

 遊びと本能との因果関係は明確なものではない。

 遊びは大人になるための準備の側面もあるが、人は大人になっても遊び続ける。


 遊びの近代理論・・名称、遊びの原因

6.一般化説

 労働において報酬を受けてきた経験を遊びに用いる遊び手によって
 遊びはひき起こされる。

7.代償説

 労働によっては満たせない、あるいは生み出せない心的欲求を満たすために
 遊びを利用する遊び手によって遊びはひき起こされる。

8.浄化説
  
 乱れた情動を、社会的に認められた活動に形を変えて、
 無害なやり方で表出しようとする欲求によって、
 遊びは一部ひき起こされる。

9a.精神分析説1

 非常に不快な経験を遊びの形で繰り返すことで深刻さを減らし、
 不快な経験を同化する遊び手によって、
 遊びは一部ひき起こされる。

9b.精神分析説2

 遊んでいるあいだに極めて不快な経験の消極的な受容者としての役割りを逆転し、
 同じような方法で他の受容者を積極的に支配し、
 そうすることで不快な結果を浄化する遊び手によって遊びは一部ひき起こされる。

10.発達説

 子どもの知力が発達する行程によって遊びはひき起こされる。
 したがって遊びは、子どもの知力能力の成長によってひき起こされ、それに条件づけられる。
 遊びは、子どもが現実に対して自分自身の概念や制約を課すことができるとき生ずる。

11.学習説

 学習を生みだす正常な過程によって遊びはひき起こされる。


 古典的理論とともに、
 発達説や学習説が、多くの遊びやゲームの理論的な裏付けであり、
 大人になっても、当てはまり続けると思います。
  


 或る男       武者小路 実篤


 私は五十六になるが
 時々心のうちで言ふ
 今にすばらしい人間になってやる。
 すばらしい人間になるとは
 すばらしい小説をかくと言ふのか。
 すばらしい画をかくと言ふのか
 人類を救うと言ふのか、
 私は知らない。
 たださう言つて見るので
 自分が若々しく元気になれ
 希望がもてるのを感じるばかりだ。
 私は今にすばらしい人間になつてやる。

              1941年

 


西村清和「遊びの現象学」

勁草書房

1986年刊




 ピーター・ブリューゲルが、1560年に描いた『子どもの遊び』・・

 総勢246人にも及ぶ子どもたち。大人は二人のみ。

 この絵のなかに、「馬跳び」「輪まわし」「お手玉」「竹馬」「木馬」

 「かくれんぼ」「鬼ごっこ」「子とり」「独楽まわし」「めんこ」

 「チャンバラ」「お店やさんごっこ」など、84とも86とも、91とも

 いわれる遊びが表されている。 


 同じブリューゲルの『雪の中の狩り』では、氷の上に、子どもだけでなく大人もまざって

 スケートやホッケーを楽しんでいる。




 かつて、子どもはたんに小型の大人とみられていた。

 しかし、17世紀になって初めて、大人と子どもの明確な区別、「子ども期」が成立した。

 子どもの発見と同様に、遊びも発見された。

 
 
 遊びやスポーツが果たす効用の一つは、

 「社会化」の効用である。

 
 「遊びのエートス」としてあげられるのは、
 
 ・合意にもとづくルールの遵守、

 ・共同作業におけるパートナーシップ、

 ・これらの行動に示される持前、徳としての、公正な態度や精神

である。


 




<目次>
問いの射程
遊びの祖型
浮遊と同調
かくれんぼの現象学
玩具の存在論
仮象論の陥穽
ごっこの構造
ルールの概念
賭けと遇運

為末大「遊ぶ」が勝ち 『ホモ・ルーデンス』で、君も跳べ! (中公新書ラクレ)

2013年刊




 為末さんが、『ホモ・ルーデンス』から学んだこと。


≪悩みというものの多くは、視点が固定されていることから生まれる。

 だとするなら、悩んでいる人は特に、「引く」とか「ずらす」という遊びの感覚を

 駆使して距離を取り、自分の中に「余白」や「ゆるみ」や「隙間」を作っていくことが

 大事だと思う。≫



≪「何かのために」走ってはいけない≫

「すべての遊びは、まず第一に、何にもまして一つの自由な行動である。

 命令されてする遊び、そんなものはもう遊びではない。」




「遊びの「面白さ」は、どんな分析も、どんな論理的解釈も受けつけない。」


「遊びと真面目の対比を一つの絶対的なものと見なす習慣が

 こびりついているのだ。」


「遊びとは、あるはっきり定められた時間、空間の範囲内で行われる自発的な行為

 もしくは活動である。それは自発的に受け入れた規則に従っている。・・・

 遊びの目的は行為そのもののなかにある。」


「遊びは真面目に転換し、真面目は遊びに変化する。」



「遊びの領域のまったく外にあるのが報酬である。

 それは、奉仕を果たし、

 労働を行ったことの正当な報いということだからだ。

 この報酬を求めてすること、

 それは仕事であって、遊びではない。」



<目次>
助走路 遊びって何だろう?
第1ハードル スポーツと遊び
第2ハードル 身体を遊ぶ
第3ハードル コミュニケーションが遊びを拓く
第4ハードル 教養から遊びへ
第5ハードル キャリアと「遊び感」
ゴール 「遊び感」の可能性

見てごらん!名画だよ―直感こども美術館

マリー・セリエ

訳 結城昌子

西村書店

2007年刊


 ブューゲル『子どもの遊戯』・・


≪なにが 描かれているか 理解するには

 もう少し 考えてみないと いかない。

 
 この子どもたち 本当に 子どもなの?

 
 子どもの ふりをした 大人だとしたら?


 人生という 真剣な遊びをするのに 夢中になっているの?

 
 なぞは 残されたまま。

 ブリューゲルは なにもいわずに いってしまった。≫




<目次>
青い空(ルネ・マグリット)
太陽が(フィンセント・ファン・ゴッホ)
月の下(パウル・クレー)
男の人(カジミール・マレーヴィチ)
女の人(ポール・ゴーガン)
愛しあう(マルク・シャガール)
生まれた(ジャン・デュビュッフェ)
子ども(ルーカス・クラナハ(父))
遊ぶ(ピーテル・ブリューゲル(父))
学ぶ(ヘラルト・テルボルフ)〔ほか〕


ウィーン美術史美術館・オーストリア美術館・セガンティーニ美術館 NHK世界美術館紀行(8)

NHK「世界美術館紀行」取材班 編

2005年刊


ウィーンの
・美術史美術館では、ブリューゲル、
・オーストリア美術館では、クリムト、
そして、
サンモリッツの
・セガンティーニ美術館では、セガンティーニ
を紹介した本。





 美術史美術館では、ブリューゲルの油彩画50点余のうち、14点を見ることができる。

 ・・『バベルの塔』『農家の婚礼』『雪の中の狩人』『農民の踊り』『子どもの遊戯』


 「アルプスの画家」と呼ばれ、41歳で亡くなったセガンティーニ。

 倉敷の大原美術館にある「アルプスの真昼」は有名ですが、その光景が美術館の外に

 広がっているので、一度行ってみたいですね~




<目次>
ウィーン美術史美術館
(皇帝たちが築いた美の帝国
作家たちの肖像―ピーテル・ブリューゲル
コラム 映画のなかの画家たち)
オーストリア美術館
(ウィーン世紀末 クリムトの恋
作家たちの肖像―グスタフ・クリムト
コラム 世紀末の女性たち)
セガンティーニ美術館
(アルプスの画家ここに眠る
作家たちの肖像―ジョヴァンニ・セガンティーニ
コラム 象徴としての牛)


平本相武「コーチング・マジック」

PHP研究所

2005年刊



 平本相武さんの「コーチング・マジック」を再読する。



 ビジネス・コーチングは、4つのレベルから成り立つ。

 各々のレベルの目的と、適用する場面は次のとおりです。

1.案件レベルのコーチング:パフォーマンスを上げる

 仕事や会社・上司に対して不満はないけれども、

 (1)今取り組んでいる案件に、自分の能力を発揮しきれていない

 (2)今取り組んでいる案件で、いいやり方を見出だせていない

 (3)やる気はあるが、結果が伴っていない 
 
 このような相手に対して行うコーチング。


2.現職レベルのコーチング:会社でオンリーワンになる

 (1)案件レベルのコーチングで成果が上がらない場合

 (2)今関わっている仕事に、部下のやる気が感じられない場合

 (3)会社・上司がやらせたい仕事に、部下の積極性が感じられない場合 

 (4)会社・上司がやらせたい仕事と、部下がやりたい仕事が食い違う場合 
 
 (5)部下がこの会社で「どうなりたいか、何がしたいか」がわからない場合 
  
 このような相手に対して行うコーチング。


3.キャリアレベルのコーチング:天職を見つける

 (1)案件レベル、現職レベルのコーチングで成果が上がらない場合

 (2)部下が今の会社では、自分の価値観(自分らしさ)が満たされないと感じている場合

 (3)部下が今とは違うキャリアを望んでいる場合 

 (4)部下がどんな仕事をしたいのか、どんなキャリアを持ちたいのか模索している場合

 このような相手に対して行うコーチング。


4.ライフレベルのコーチング:仕事以外のワクワクを発見する

 各レベルのコーチングで上手くいかない場合、上位のレベルのコーチングを行う。


 1.案件レベル

 仕事上のさまざまな課題・問題へのアプローチ方法。

 ステップ1 問題点を探し出す
 1.1.1.抽象的な話から、具体的な情報を収集する
 1.1.2.部下自身の意見を聞いていく
 1.1.3.問題点を探り出す

 ステップ2 問題の「パターン」を発見する
 1.2.1.自分の過去の似たようなケースからパターンを発見する
 1.2.2.他の人の似たようなケースからパターンを発見する

 ステップ3 解決像(WHAT)を探り出す
 1.3.1.4つの選択肢から進むべき道を選ぶ
 1.3.2.スケーリング<部下が自分で「やる」と決めたなら>

 ステップ4 具体的な行動に落とし込む
 1.4.1.具体的な「小さな一歩」を見つける
 1.4.2.具体的な行動に入る前に最終チェックをする
 1.4.3.いよいよ、行動に移す

 ステップ5 上司から提案する 
 1.5.1.上司から提案する際のポイント


 2.現職レベル

 上司自身の「どうなりたい?」を最初に言ってはダメ。まず部下の言葉を積極的傾聴する。

 ステップ1 部下の不満を徹底的に聞く
 2.1.1.部下の不満から、本音を探り出す

 ステップ2 部下の「どうなりたい?」(WHAT)を引き出す
 2.2.1.部下の、「今の仕事で何が大事? どうなればいい?」を引き出す
 2.2.2.「会社にどうなってほしい?」と聞く
 2.2.3.「上司としての私にどうなってほしい?」を聞く
 2.2.4.「もっと変わってほしいのは何?」を聞く

 ステップ3 会社の「どうなりたい?」(WHAT)を、部下の口から語ってもらう
 2.3.1.部下の主観で、「会社の大事なのもの」を語ってもらう
 2.3.2.部下の主観で、「会社の目指す方向」を語ってもらう
 2.3.3.部下の主観で、「会社が社員に何を求めている?」を語ってもらう
 2.3.4.部下の主観で、「会社が部下自身に何を求めている?」を語ってもらう

 ステップ4 上司自身が「どうなりたい?」(WHAT)を語る
 2.4.1.上司から部下に語りかける

 ステップ5 共有できる「どうなりたい?」(WHAT)を見つける 
 2.5.1.共有点を探る
 2.5.2.共有点に向けて第一歩を踏む



 3.キャリアレベル

 キャリア・エッセンスとは、本当にやりたいことは何かを、時間軸と空間軸を広げて考えてみること。

子供の頃から定年後までのスパンを広げ、「何をしていたいか?」、また、他の人の仕事をどう思うか、を考えてみる。その上で、形や規模を変えて、

現職でどう活かせるか、考えてみる。

 ステップ1 キャリア・エッセンスを引き出す
 3.1.1.空間軸からキャリア・エッセンスを探る
 3.1.2.時間軸からキャリア・エッセンスを探る

 ステップ2 キャリアでの「自分らしさ」を見つけ出す
 3.2.1.大事な価値観(Toward values)の優先順位をつける
 3.2.2.具体的な場面を思い起こさせる
 3.2.3.避けたい価値観(Away values)の優先順位をつける
 3.2.4.具体的な場面を思い起こさせる

 ステップ3 将来のキャリアをイメージする
 3.3.1.将来のキャリア<夢の仕事、または自分らしい仕事>
 3.3.2.具体的な場面をイメージする

 ステップ4 キャリアプランに落とし込む
 3.4.1.キャリアビジョンの活かし方

 ステップ5 現職プランに落とし込む
 3.5.1.現職への落とし込み


 4.ライフレベル

 ステップ1 自分らしさ・ありたい姿を引き出す
 4.1.1.空間軸から自分らしさ・ありたい姿を探る
 4.1.2.時間軸から自分らしさ・ありたい姿を探る
 
 ステップ2 「自分らしく」生きる
 4.2.1.ライフ価値観
 4.2.2.価値観に沿って生きる

 ステップ3 「未来の夢」に向かう
 4.3.1.ライフビジョン
 4.3.2.ビジョンを実現していく

 ステップ4 「自分らしさ」を現職で活かす

 ステップ5 「ありたい姿」から現職を見る


 



<目次>
第1章 案件レベルのコーチング
(コーチングの環境を作る
問題点を探し出す ほか)
第2章 現職レベルのコーチング
(コーチングの環境を作る
部下の不満を徹底的に聞く ほか)
第3章 キャリアレベルのコーチング
(効果的なキャリアレベルのコーチング
コーチングの環境を作る ほか)
第4章 ライフレベルのコーチング
(仕事以外、「趣味・娯楽」から「友人・家族」「人生設計」まで
コーチングの環境を作る ほか)


伊東明「人を育て、動かし、戦力にする実戦コーチング・マニュアル―すぐに使える260フレーズ!」

ダイヤモンド社

2002年刊







 コーチングは、レベルメーターで考える。

 部下やメンバーの指導にあたって、いつでもコーチングで臨むのではなくて、

 相手のスキルや状況を踏まえて、

 コーチングとティーチングを組み合わせ、その適用の割合を、レベルメーターの

 レベルを変えるように切り替えて使う必要がある。
 
 たとえば、

 スキル・経験とも不足している新人相手であれば、

 ティーチング80%、コーチング20%とし、

 中堅であれば、ティーチング50%、コーチング50%、

 ベテランに対しては、コーチング100%

 としてみる。



 ふつうの会話とコーチングの会話の違いが、面白いです。

1.自分が話す VS 相手の話を聞く

2.一方的に話す VS 会話に引き込む

3.話を引き出さない VS 話を引き出す

4.せかす VS 待つ

5.(こちらが)評価する VS (相手に)評価させる

6.観察している VS 観察している

7.質問がワンパターン VS 質問が多彩

8.思考に偏る VS 気持ちを重視する

9.しらけている VS わくわくしている

10.エネルギーをしぼませる VS エネルギーをふくらませる

11.すべてを知っているフリをする VS 知っていても、知らないフリができる

12.答えを与える VS ヒントを与える

13.自分の考えや世界に固執する VS 自分の考えや世界に固執しない

14.言葉だけで終わる VS 行動までサポートする

15.いつも VS ときどき

16.YOU VS WE

17.認めない、認めても伝えない VS 認めてそれを伝える

18.弱みを指摘する VS 強みを認める

19.相手のミスを叱るチャンスにする VS 相手のミスを成長のチャンスにする




コーチングの実践フロー・・


 ステップ0 オープニング

 「相手の警戒心、防御本能を解くために、パーミッションの一言をかける手間を惜しまない。」


 ステップ1 目標の設定


 ①問題の明確化 問題点が明確なほど、答えも見つけやすくなる。

 ②可能性の拡大 本人に「自分はきっとできる」と気づかせる。

 ③対決     本人に「このままではいけない」と気づかせる。

 ④目標の宣言・確認 改善すべき目標を明確にする。



 ステップ2 解決策・実効策の検討



 ①必要なものの整理 その目標達成のためには、何が必要か。

 ②リソース  その人が扱っている資源。頼れる人や物、過去の成功体験、強み等を整理する。

 ③パースペクティブ 「もし君が私だったら」「もし○○さんだったら」「3年後の自分だったら」どう考えるだろう、どうするだろう。



 ステップ3 実行



 ①プランの確認 できるだけ具体化する。

 ②コミットメント 「やるつもり」ではなく、「やります」の言葉を引き出す。

 ③リクエスト  付随して望むことがあれば、同時にリクエストする。

 ④再検討    相手をよく観察する。



 ステップ4 フィードバック 

 ①承認    相手が実行した場合、「いいね」と言う。

        相手が実行しなかった場合、冷静に「やらなかったんだね」と言い、次に確実に実行するため、ステップ1に戻る。

 ②成果の確認 やってみて、どうだったか聞く。


 






<目次>
第1章 「なるほどね」の一言から始めよう!
(コーチングの説明は1分で終わる
コーチングは人間として革命的なこと ほか)
第2章 比べてみればすぐにわかる!「ふつうの会話VS.コーチング・カンバセーション」
(大きなゴールにたどり着くためのサブゴール
ふつうの会話VS.コーチング・カンバセーションの違い ほか)
第3章 覚えたその日から使える!コーチングの実践フロー
(実践フローのケーススタディ
オープニング 相手の頭をコーチング・モードに切り替える ほか)
第4章 どんな相手でも怖くない!タイプ別コーチング活用法
(相手を初めから枠にあてはめない
相手が能動的でない場合 ほか)
第5章 アンチ・コーチング派、懐疑派、真面目派の疑問に答えるQ&A
(旧来型のリーダーシップスタイルのどこが悪い!?否定される筋合いはないよ!
コーチングなんて実際にやるのは難しいよ! ほか)

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