アドルノ入門 (平凡社ライブラリー)

ロルフ・ヴィガースハウス

訳 原 千史、鹿島 徹

1998年刊


 アドルノは、音楽家兼哲学者でした。

 ピアノを弾いていた哲学者は多くいたようですが、

 職業ピアニストになったこともある人はアドルノだけかもしれませんね(^^♪



 ホルクハイマー宛の公開書簡より・・

「・・ぼくは、そもそもの生まれと若いころの経験からして、芸術家、音楽家だった。

 とはいっても、今日の芸術とその可能性をなんとか弁明したいという思いで、

 一杯だったのだけれども。

 その思いにはやはり客観的なものが、つまり社会の趨勢に直面して素朴に美的に

 振る舞うだけでは不十分なのではないかという予感が、頭をもたげようとしていた。」



≪学業を終えて哲学の博士号を取得したのちアドルノは1925年初め、

 作曲家兼コンサートピアニストになり、シェーンベルク・サークルの

 一員としてその音楽を普及させる一助となりたいという思いを胸に、

 ウィーンにいるアルバン・ベルクのもとへ赴くことになる。≫


≪・・彼にとってショックだったのは、シェーンベルクに認めてもらえなかったことだった。

 彼のじつにわずかな作曲の仕事にしても、また哲学的傾向をもった音楽論文にしても

 そうだった。≫



≪構成的主観性という迷妄を主観の力によって打ち破ること。

 数学的-自然科学的思考を理想と仰ぐような矮小な合理性概念に取って代えて、

 「非同一的なもの」の経験に場を与える幅広い合理性の構想を打ち立てること。

 アドルノが哲学者として自分の使命と見なしていたのは、このことである。≫


≪哲学体系といったようなものを作り上げることなど、アドルノには問題ではなかった。

 体系というものは、特殊な対象への没入を妨げ、特殊なものから始める思考の

 代わりに上からの思考だけを許容する秩序だと見なしていたからである。

 アドルノの理想は、百科全書的な思考、つまり、全体として合理的に組織されて

 いながらも非連続的で、くり返し新たに始まる、エッセイ的な思考なのだ。≫



≪アドルノは暗鬱な(dunkel)、いやそれどころか暗黒の(schwarz)社会理論家であった。

 しかし思考と芸術から発する希望の輝きは彼にとって、社会に対しラディカルな批判

 をくわえるのに十分なものである。


 そのさい彼を照らしみちびく明かりとなったのは、人間が貶められ、奴隷となり、

 見捨てられ、軽蔑すべき存在になっている状況をすべて転覆せよ、

 というマルクスの命令が妥当であることに変わりはないという確信であった。≫



≪哲学とはちがい、芸術は<幸福の約束>を秘めている。

 否定弁証法に立脚する哲学が目指していたもの、

 つまり「主観の行為をつうじて客観的なものが見えてくること」を実行する芸術なのだ。≫




<目次>
第1章 ファシズムの時代を生きた市民階級のインテリ・アウトサイダー
第2章 非同一的なものの哲学―否定弁証法
第3章 批判的社会理論―権威主義的主体の管理社会
第4章 モダニズム芸術の哲学―美的仮象による「幸福の約束」
第5章 多岐にわたる影響
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須賀敦子「地図のない道」

新潮社

1999年刊



 ジャコモ・デベネデッティ『1943年、10月16日』

 Giacomo Debenedetti 16 octobre 1943



 1943年は、ローマがナチの軍隊に占領された年。

 そして、ローマのゲットからユダヤ人が連行された事件が起こったのが、

 10月16日だった。


 ダニエル・デフォー『疫病の年の日誌』・・



 ロンドンのペストを一人称の記録体で書いたもの。

 ≪地味だが、味のある本で、いちど読んだら忘れられない。≫


 デベネデッティの100ページ足らずの小さな本は、

 デフォーの作品に肩を並べるものとして評価されている。


≪デフォーの『疫病』がロンドンの住民すべてを、いわば「差別なく」

 襲った悲劇の歴史であったのに対して、

 ここでは、権力を手にしたひとにぎりの人間が、おなじ人間仲間を

 死に追い詰めていく状況が、切りつめた、格調の高い文体で記されている。

 文章がとぎすまされているだけ、悲劇の大きさが客体化され、

 状況の救いのなさに胸がふさがる。

 究極的にいって、デベネデッティの文章のすばらしさは、

 この迫害の記録が、政治批判のレベルや個人的な創作の基準をこえて、

 まずしいローマのユダヤ人をおそった悪夢のような不幸を悼む、

 無名の人びとの悲しみの合唱となっている事実にあって、

 そのことが読むものに深い余韻を残す。≫



<目次>
地図のない道
(ゲットの広場

島)
ザッテレの河岸で



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須賀敦子「遠い朝の本たち」(ちくま文庫)




「父ゆずり」・・

≪おまえはすぐ本に読まれる。
 
 母はそういって私を叱った。

 また、本に読まれてる。はやく勉強しなさい。本は読むものでしょう。

 おまえみたいに、年がら年中、本に読まれてばかりいて、どうするの。

 そんなふうに、このことばは使われた。≫



 この本にも、サン=テグジュペリの言葉が紹介されています。

『戦う操縦士』の堀口大学の訳・・



「建築成った伽藍内の堂守や貸椅子係の職に就こうと考えるような人間は、

 すでにその瞬間から敗北者であると。

 それに反して、何人であれ、その胸中に建造すべき伽藍を抱いている者は、

 すでに勝利者なのである。

 勝利は愛情の結果だ。

 ・・知能は愛情に奉仕する場合にだけ役立つのである。」



『城砦』・・



「きみは人生に意義をもとめているが、人生の意義とは自分自身になることだ」

「大切なのは、どこかを指して行くことなので、到着することではないのだ、

 というのも、死、以外に到着というものはあり得ないのだから」





<目次>
しげちゃんの昇天
父ゆずり
ベッドの中のベストセラー
本のそとの「物語」
『サフランの歌』のころ
まがり角の本
葦の中の声
星と地球のあいだで
ひらひらと七月の蝶
シエナの坂道
小さなファデット
父の鴎外
クレールという女
アルキビアデスの笛
ダフォディルきんいろにはためいて…
赤い表紙の小さな本

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須賀敦子「ヴェネツィアの宿」(文春文庫)






「大聖堂まで」・・

≪はじめてのヨーロッパは、日本で予想していたよりずっときびしかった。

 言葉の壁はもちろん私を苦しめたが、それよりも根本的なのは、

 この国の人たちのものの考え方の文法のようなものへの手がかりが

 つかめないことだった。自分とおなじくらいの年齢で、自分に似た知的な問題を

 かかえているフランス人との対話が、いや、対話だけでなく、出会いさえが、

 パリの自分にはまったく拒まれているように思えて、私はいらだっていた。≫




 神奈川近代文学館の「須賀敦子の世界展」で、

 須賀さんがアンダーラインを引いたサン=テグジュペリの『城砦』を見ましたが、

ここでも紹介されていました。


≪そのころ読んだ、サン=テグジュペリの文章が私を揺り動かした。

 「自分がカテドラルを建てる人間にならなければ、意味がない。

 できあがったカテドラルのなかに、ぬくぬくと自分の席を得ようとする人間に

 なってはだめだ」

 シャルトルへの道で、私は自分のカテドラルのことを考え、そして東京にいる

 ふたりの友人はどうしているだろうと想った。≫





<目次>
ヴェネツィアの宿
夏のおわり
寄宿学校
カラが咲く庭
夜半のうた声
大聖堂まで
レーニ街の家
白い方丈
カティアが歩いた道
旅のむこう
アスフォデロの野をわたって
オリエント・エクスプレス
道後温泉駅から、大街道へ
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松山城ロープウェイ・リフト乗り場・・
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リフト・・
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松山城・・
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松山城のキャラクター「よしあきくん」・・
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 天守閣から・・
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坂の上の雲ミュージアム・・
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「坂の上の雲」の新聞連載記事・・
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モノ食う人々・・べこや
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 先日行った、松山・道後温泉の写真の整理・・

道後温泉駅・・
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道後温泉本館・・
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坊ちゃんの間・・
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鏡子さんのお見合い写真・・
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マドンナのモデル・・
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「霊の湯」の2階席にて、坊ちゃんだんごとおせんべい・・
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玉の石・・少彦名命
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坊ちゃん広場・・
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モノ食う人々・・
松山鮓(まつやまずし)・・
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鯛めし・・
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一六タルト・・
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 写真集などの魅力的なビジュアル本も多数紹介されています。


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 「写真がとらえた歴史の瞬間」


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 新宿御苑近くのお蕎麦屋さんで、今年最後の忘年会でした。

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コモエスタ坂本「低度情報化社会 Ultra Low-level Information Society」


 インターネットを使って、≪みんな自分がわかりそうな低品位の情報だけを選び、

 自分を同類の人とだけ交信しあう結果、・・低レベルの情報平準化現象が起きている。≫



斉藤光政「偽書『東日流外三郡誌』事件」

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≪偽書をでっちあげ自ら発見者となった和田喜八郎という奇怪な人物の陰影を見事に描写。

 ナゾ解きものとしても、なまじの推理小説よりはるかに面白い。≫



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マーティン・バナール「ブラック・アテナ(1)」

≪いまでも歴史の教科書はギリシア文明から説き起こされ、ギリシア文明は、北方からギリシアに

 入ってきた白人系のアーリア民族が作ったものとされている。

 しかし、バナールにいわせると、ギリシア文明の起源は黒褐色系のエジプト文明、
 
 フェニキア文明(セム系・ユダヤ系)にある。

 つまり西洋古典文明は、アフロ・アジア的ルーツを持つのだ。

 それがなぜアーリア系にされてしまったのか。

 十九世紀ヨーロッパに広まっていた反ユダヤ主義とアーリアを優越人種とする人種差別思想

 の故だという。≫



ダニエル・T・マックス「眠れない一族」

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 プリオン病の起源をたどっていくと、有史以前の社会にまでたどりつく。

≪ヒトは原人時代、食人をごく普通の行為として行っていた。

 その痕跡が、現生人類のヒト・プリオン遺伝子(誰でも持っている。・・)の中に残っている

 のだという。≫


「ヒトは食べられて進化した」

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≪有史以前、ヒトはみな食人をしていたというのもショックだが、同時に、

 ヒトはヒトならぬ捕食動物(肉食獣)にエサとして食われてきたという話もショックだ。≫



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高木由臣「寿命論」

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≪生物には寿命があるのかないのかわからないようなものも沢山あるのだという。≫

≪結局、寿命の問題は、個体の定義の問題、個体の境界の問題とかかわってくる。≫

 ・・国家に寿命はあるか? 民族や文化についてはどうか?

 思想はどうか? 宇宙についてはどうか?




立花隆「小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力」

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ウンベルト・エーコ「醜の歴史」

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≪醜の歴史を知ることなしに、美の歴史を知ることはできないというエーコの意見に賛成する。≫


続く・・

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立花隆「読書脳 ぼくの深読み300冊の記録」

文藝春秋

2013年刊



 立花さんと石田英敬さんとの巻頭対談「読書の未来」・・


 いま、改めて古典的な読み方

 「ディープ・リーディング」が必要とされているのではないか。

 「ディープ・リーディング」とは、ゼミ形式で輪読し、
 
 担当箇所についてレポートをした後、議論をする。、

 一回の授業で、せいぜい1ページ程度しか進まず、全編読み通すのに、数年をかける。


 この 「ディープ・リーディング」の対極にあるのが、

 「シャロー・リーディング(浅い読み)」。

≪現代では、いかに速く読むかの方法論ばかり意識されますが、

 逆に、深くじっくり読む、あるいはあえて遅く読むスロー・リーディングの方法論が

 これからはクローズアップされるようになる。≫(石田) 



≪私が大学一、二年の学生たちによくいうのは、

 「100%理解できるような本は読んでもしょうがない」ということです。

 なぜかというと、完璧に理解できる本をわざわざ読む必要がないからです。

 そうかといって半分以上分からないとちんぷんかんぷんになる。

 だから六割とかそれくらいわかるような本を読むのがいいでしょうね。≫(石田) 


≪ディープ・リーディングによって、その本から感じたいちばんディープな部分は、

 他人に伝えようと思ってもなかなか伝えられません。

 それこそ本を一冊書かざるを得ない。≫(立花)



 ・・本の紹介は、続く。



<目次>
巻頭対談「読書の未来」―石田英敬(東京大学附属図書館副館長)×立花隆
私の読書日記―2006.12~2013.3(反キリスト、黄禍論、大英帝国
検察対大蔵省、ネット社会、ウィーナー
九条と日本、二・二六事件、ダイアナ妃
偽書、地図、外交機密、女性のパーツ
フィクサー、グアンタナモ、人類の終わり
宇宙飛行士、記者の執念、ドーキンス
マッカーサー、天皇陵、ルーシー事件
九・一一、黒いアテナ、人類の足跡 ほか)

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