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 品川のグランドプリンスホテル新高輪、国際館パミールで行われた

 日興コーディアル証券・新春フォーラム2008へ参加。


 「塩じい」こと、塩川正十郎さんの講演を聞いてきました。

 前半の日本にいまこそ必要な開明化の姿勢、国際貢献の話は、

 とても良いと思います。

 後半は、立場によって大きく意見分かれると思いますが、

 年金・社会保障費の負担の問題、教育方針とも、

 問題認識そのものが異なっているので、共有化からはじめないといけないですね。
 


テーマ「時代を読み、明日へ活かす!」

・今日のダボス会議で、福田首相が、「地球温暖化対策」「CO2排除」へ、

 世界経済低迷への対策として、日本が技術面・資金面(100億ドル)で貢献する旨の提言。

 資金面はともかく、技術面は困難なことがでてくるだろうが、しっかりやってほしい。

・最近、非常に気になるのは、政治の停滞・・

 とりわけ、鎖国的な雰囲気になってきていること。


・「国際化」、開明路線を再認識することが必要。

・小泉政権において、様々な制度改革をしたが、その一例として、

 港湾の入国査証におけるシングル・ウィンドウ制、窓口一本化がある。

 2001年当時、神戸や横浜といった日本の港へ大型コンテナの貿易船が入らず、

 高雄、仁川、釜山などへシフトしてしまっていた。理由は、日本だと役所の管轄毎に

 7枚もの入国申請の資料を出さねばならない。一方、シングル・ウィンドウ制をとっている国は、

 1枚だけ書いて申請すれば、訂正も含め3~4時間で入国できる。だから、どこの国も日本の港

 への入国に嫌気がさしていた。まず、これを変えた。

 でも、日本の港はまだ24時間になっていない。16~18時間の稼動に留まっている。

 理由は、労働組合の問題。

 → 国内で足を引っ張り合っている間に、国際競争に負けてしまう構図ですね~。

・また、港については、豊橋港の存在がある。

 トヨタが金を出して、大型船が利用できるよう水深を17メートルへ掘り下げた。

 その結果、ホンダや日産だけでなく、ベンツやVMらも、名古屋港から豊橋港の利用へ

 シフトした。役所に任せていたら話は進まないが、民間主導で上手くいった例。

 こういった改革を進めないといけない。

・今年は、1858年、安政五年に日英修好通商条約が結ばれて150周年。
 
 当時の状況といまを対比して考えてみる・・

  1858年 開明派(岩倉使節団) vs 攘夷派   

        西南戦争が勃発

   その後、日英同盟へ・・軍艦三笠・日向を購入し、日露戦争の準備

   日露戦争に勝利後の1921年、日英同盟を破棄し、孤立化の道、

   昭和20年の敗戦。


  現在    グローバリズム・開国派 vs 反グローバリズム・鎖国派

        格差社会の議論の対立

   自主独立は大切だが、孤立化への道を歩んではならない。


・今後の日本の国際貢献の一つとして・・

 ASEAN加盟国10カ国の中で、繁栄している国(タイ、マレーシア、フィリピン・・)

 とそうでない国(旧・社会主義国のミャンマー、ラオス・・)との違いは、

 過去に日本の支援の有無がある。

 彼らに期待されているのは、「メコン川の開発」。

 高度4500メートルの落差を活かした水力発電、灌漑施設・・が待望されている。

 しかし、源流の中国とミャンマーとの交渉がネックになってなかなか進まない。

 かつて日本とも関係の深かったミャンマーとの関係を活かして、日本が積極的に交渉の

 取りまとめのリーダーシップを発揮してよい。


・国内の政治の改革について・・

 政治家がもう少しキャリアを積んで欲しい。

 政治家の育ちが異なる。親が亡くなったので、会社員から政治家へ転出する人が多く、
 
 生理年齢は高いが、政治家としてのキャリアは薄い。

 英国と比べた場合、下院は平均14年ぐらいなのに対して、

 日本の衆院議員は、平均7年ほど。

・政治家は、国益=ナショナル・インタレストを基準に、議論・判断する必要があるが、

 最近は、「国民目線」で、「生活重視」で、となっている。

 その結果、労働分配率の見直し等の議論がなされない。

・経済の低迷から脱却するためには、「消費」の力を強くすること。

 今後、年金の確保、医療の安全など社会保障の維持には、

 毎年3~4兆円ずつ必要になると予想されるが、財源としては税収増しかない。

・GDPの増加分の約3分の1が、税収に転化されると言われていることを踏まえると、

 現在460~460兆円のGDPを、毎年14兆円程度=約3%アップさせる必要がある。

 そうすれば、増加分の3分の1の税収4兆円が得られる。

・にもかかわらず、日本の経済成長率は、1.4%程度・・足りない。

 不足分を、予算削減とあわせるとしても、2%は必要。

 日本の経済成長率の目標設定の議論が必要だが、されていない。

 また、経済成長の議論なしの消費税の議論はダメ。
 
・年金問題・・

 自助努力・自分の掛け金に対するリターンとしての保険としての年金と、

 生活保護・社会保障としての年金の2段構えで扱うこと。

 後者は、基礎年金として、不足分は消費税を充当してもよいと考えている。

 ただし、たとえば年収500万以上は対象外、400万なら半額、300万以下は全額支給

 といったメリハリが必要。


・教育改革について・・

 根本は、義務教育のあり方・・いま義務教育が疲弊していること。
 
 戦前と戦後の教師の育成の方法の違いを見よ。

 戦後は、ペーパーテストで、教師になれる。

 戦前は、文字通り「育成」してきた。

 小学校の校長が、当時の学年一番または素養のある生徒に対し、中学校への進学をやめさせ、

 師範学校へ行かせた。師範学校は、6年間の全寮制だあり、給与・兵役免除の特典があった。

 また代用教員として1年ほど働いた後、再度、師範学校で学び、訓導となった。

→ 進学率が一桁だった頃のある意味、古きよき時代・・他面教育の機会が限定された時代ですが、

 マスプロ化の中で、人格教育ができなくなりましたね。


(また、今回初めて知った話ですが、)

 憲法の公布から発布が半年間遅れた理由。本来、同時に発布される予定であったが、

 教育基本法がなかったため、進駐軍から差し止められた。

 そこで、教育勅語を適用しないことを衆参両議員で議決した後、

 さらに、教育基本法を公布・発布させた後、憲法発布することができた。


 一昨年の教育基本法の改正において、「公共の精神」を涵養すること、

 「自主及び自律の精神を養う」ことが入ったことがポイント。

→ 教育勅語への回帰はアナクロニズムですが、

  教師・教育制度の改善議論は避けて通れないですね。

以上。



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Re:塩川正十郎講演「時代を読み、明日へ活かす!」/日興コーディアル証券・新春フォーラム2008(01/27)

本日は塩じいでしたか?
行けばよかった。

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