百田尚樹・渡部昇一「ゼロ戦と日本刀 美しさに潜む「失敗の本質」」

PHP研究所

2013年刊





 中国には、矛盾という言葉があるし、

 欧米にも、守りを固めてから攻めを考える文化があるが、

 日本には、「盾」の思想がない。


 
 たとえば、ミッドウェー海戦の勝敗を分けたのは、
 
 日本の空母が、閉鎖格納庫で、誘爆を引き起こしやすかったのに対し、

 アメリカの空母は、開放格納庫で、誘爆が起こりにくかった点にある。

 ダメージ・コントロールの差が勝負を決した。



 日本の悪しき平等主義のせいで、

 世界最高の戦闘機の部品をつくることのできる一流の職人にも、一律に赤紙がきた。

 余人をもって代え難い職人を消耗品として扱った。

 一方、建築家のシューペアが軍需省のトップとなったドイツでは、

 技術者、熟練工の兵役は免除されていた。

 また、スターリングラードを除き、食糧の供給が止まることはなかった。



 ゼロ戦は、8時間も飛べる素晴らしい飛行機であったが、

 空中戦を含めて8時間も休憩なしに操縦することは、人間性が考慮されていない。

 座席には防御のための鋼板さえなく、流れ弾が当たれば、パイロットが絶命するか、

 さらに、燃料は翼に満タンに入っているため、一発でも当たれば、機体は炎上した。

 それを、熟練した飛技術と精神力でカバーせよ、という上官は、

 往復8時間の飛行を、週5日命じていた。

 疲労困憊で、墜落している友軍機が何機もあったといわれています。



≪日本海軍はとことん人間を大事にしませんでした。

 資源のない国が、モノを大事にして人を大事にしなかったことが敗戦を招いた、

 といってもよいでしょう。≫(百田)





<目次>
巻頭対談 ゼロ戦と日本刀―世界最高なのになぜ負けた?
第1部 戦争の勝敗を分けたもの
(真珠湾奇襲攻撃は騙し討ちか
アメリカは一度も宣戦布告をしていない
ミッドウェー海戦の敗因
ガダルカナル島でもチャンスはあった)
第2部 二十世紀の歴史は石油が動かした
(エネルギー革命が戦争を一変させた
石油を制する国は世界を制す)
第3部 戦後の復興を支えたもの
(敗戦を戦後の糧にした
原動力は働く喜び)
第4部 強い日本を取り戻す
(マッカーサーの証言を知ってほしい
国民の声なき声が聞こえるか
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大ベストセラーの著者と保守論壇の大御所が、「ゼロ戦」(零式艦上戦闘機)について大いに語る。 ゼロ戦は、まさに日本と日本人を象徴する飛行機であった。完成当時、速度、旋回性、航続距離で世界最高水準の性能をもち、二〇ミリ機銃を備えた奇跡の戦闘機は、しかし、不可能を可能にする代償に「防御力」を犠牲にしたのであった――ここに日本人の国民性が見えないだろうか? 「ゼロ戦の美しさともろさ」「戦艦大和は...

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