fc2ブログ


城繁幸「7割は課長にさえなれません」(PHP新書)

2010年刊



 「若者はなぜ3年で辞めるのか?」と思っていたら、

 逆の動きも進んでいます。


 「いまの会社に一生勤めようと思っている」とする回答は、

 2000年に、20.5%だったのに、

 その後上昇し、

 2009年には、55.2%になっている。


 また、「社内で出世するより、自分で起業して独立したい」とする回答は、

 2003年に、31.5%だったのに対し、

 2009年に、14.1%になっている。


 背後に、フリーター、非正規雇用の悲惨さが知られ、

 「寄らば大樹」という思想が改めて洗脳されたため・・かもしれません。




 ところで、

 会社に残れば、それで大丈夫なのか?


 1990年入社の大卒者で、課長以上に昇格している人間は、

 たったの26%しかない(2007年時点)。


 幹部候補の選抜を過ぎてしまった40代以上は、この先どうなるか?

 答えは「どうにもならない」。


 つまり、「7割の人間は飼い殺しになる現実」がある。



 我々は、2つの道が残されている。

 1つは、年功序列制度を守る現状維持の道。

 もう1つは、労働市場の完全な流動化である。

 ・正社員に対する解雇規制

 ・労働条件の不利益変更規制の緩和し、処遇の柔軟な見直しを可能とする
 





<目次>
第1章 年齢で人の価値が決まってしまう国
第2章 優秀な若者が離れていく国
第3章 弱者が食い物にされる国
第4章 雇用問題の正しいとらえ方
第5章 日本をあきらめる前に
エピローグ 二〇一X年・明るい未来


城繁幸「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代」(ちくま新書)

2008年刊




 90年代半ばあたりの新卒は、

 元気が良くて「何でもやります」という人間で溢れていて、

 人事もそういうタイプを見て喜んでいた。

 つまり、「アホがアホを採っていたようなものだ」った。


 いまの新卒は、何がやりたいか。将来にどういうビジョンがあるのか。

 そのために何をしてきたのか、を問われるようになっている。


 でも、入社してみると、会社は依然として、年功序列制度を引きずっている。

 そのため、若者は辞めてしまう。



 3年で辞めた若者はどこへ行ったのか?



 
 独立、ベンチャー・・へ。 



「20人くらいのベンチャー企業でインターンをさせてもらった時の話です。
 
 まだ20代の社長が、まあ働くわ働くわ、1週間家に帰らない。

 でも見ていて、一番カッコいい人でしたよ。

 自分もああなりたいなと思いました」




「今の仕事は面白くて仕方がない。できれば、80歳くらいまでは続けたいですね」






 
 昭和的価値観に続く、平成的価値観とはどういうものか?

 ・・多様性ではないか?




<目次>
第1章 キャリア編
(「若者は、ただ上に従うこと」―大手流通企業から外資系生保に転職、年収が二〇倍になった彼
「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」―新卒で、外資系投資銀行を選んだ理由
「仕事の目的とは、出世であること」―大新聞社の文化部記者という生き方 ほか)
第2章 独立編
(「失敗を恐れること」―大企業からNFLへ
「公私混同はしないこと」―サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉氏
「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」―赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生 ほか)
第3章 新世代編
(「新聞を読まない人間はバカであるということ」―情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある
「左翼は労働者の味方であるということ」―二一世紀の労働運動の目指すべき道とは)


城繁幸「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来」(光文社新書)

2006年刊


 
 大卒入社3年以内の退職率は、

 1992年の時点で、23%だったものが、

 2000年の時点で、36.5%に跳ね上がった。

 2010年の時点では、大卒者が31.0%、高卒者が39.2%

 2000年以降、3人に1人が辞めてしまう。


 若者はなぜ3年で辞めるのか?


 その理由は、「年功序列制度」・・

 「若い頃の頑張りに対する報酬を将来の出世で支払う」という

 システムが破綻しており、それに気づいたから。

 
≪「若いうちは我慢して働け」という上司は、

 いわば若者をそそのかして人生を出資させているようなものだ。≫


 
 若者が辞めてしまうだけでなく、

 30代が「うつ」になるのも、同じく「年功序列制度」に起因する。


 企業のなかでレールがなくなり、完全にキャリアパスが止まってしまうのが

 自分ではっきりわかる年齢は、30代である。

 企業内で30代が壊れていく最大の理由は、プレッシャーよりも閉塞感である。


 企業側では、辞めてほしいターゲットは絞られている。

 それはずばり、45歳以上の中高年である。 


 日本の労働者には、3つのヒエラルヒーがある。

 最上位に、定期昇給を恩恵を受け、20代の二倍以上の基本給を手にする中高年社員。

 次に、定期昇給を知らない団塊ジュニア以降の正社員。

 最下位は、非正規雇用労働者。 



 破綻している年功序列というレールを維持するために若者が切り捨てられている。

 労働組合は、組合費を払っていない将来の組合員には冷酷そのものである。




 じゃあ、転職してしまえばよいのか?

 でも、「転職によって成功する人は1割程度」である。

≪・・最大の理由は、彼ら自身が「自分の動機」に気づく前に、

 安易レールを降りてしまった点にある。≫

 「○○をやりたい」という理由で辞める転職は良いが、
 
 「社風が古い」「もっと面白い仕事がしたい」と思う転職は悪い。


≪彼ら“転職後悔組”に共通するのは、

 彼らが転職によって期待したものが、あくまでも「組織から与えられてる役割」

 である点だ。

 言葉を換えるなら、「もっとマシな義務を与えてくれ」ということになる。

 動機の根源が内部ではなく外部に存在するという点で、

 彼らは狼たちと決定的に異なるのだ。≫






<目次>
はじめに 「閉塞感の正体」を見きわめる
第1章 若者はなぜ3年で辞めるのか?
第2章 やる気を失った30代社員たち
第3章 若者にツケを回す国
第4章 年功序列の光と影
第5章 日本人はなぜ年功序列を好むのか?
第6章 「働く理由」を取り戻す

PAGETOP